「業績回復に向け不退転の決意」
シャープ、'14年度は300億円の赤字見込み ‐ 液晶テレビ「日本はラインナップ拡充」
タブレットなどの中型市場の需要拡大が遅れたこと、中国スマートフォン市場における流通在庫増加、モデルミックスの悪化により業績が悪化。「昨年の一過性の動きを除くと、落ちているわけではないが想定したほどの伸びではない。ただ、これは“落ちていないという言い訳”ではなく、想定を外している点を重く受け止めている」とした。
そして今後は、中型パネルの新規顧客開拓と拡販、中国市場での競争優位性の確率、中小型・大型液晶のアプリケーションミックスの最適化で対応していくと紹介。中国市場においては華南地区の営業体制を強化して取りこぼしをなくすほか、IGZO液晶のさらなる高付加価値化とコスト革新、インセルタッチパネルの早期量産化を図ると説明した。
なお、亀山第2工場の中小型比率は平均35%程度に留まっており、「2015年度中にはなんとか50%を目指していきたい」とした。
■「業績の回復に向け、不退転の決意」
会見で高橋氏は、「今回の業績悪化を真摯に受け止め、業績の回復に向け、不退転の決意で臨む」とコメント。社長就任時に発表した中期経営計画を2年目で断念して新たな計画を作ることにした点について「非常に大きな責任を感じている。絶対に達成できる新たな計画を作り上げることが責任だと考えている」と語り、デジタル情報家電(液晶テレビ)、エネルギー・ソリューション、液晶の3部門を特に中心にして抜本的構造改革に取り組むとした。
構造改革については、「経営危機に陥った際に『液晶の一本足打法に頼っているからだ』という声があったが、私もそう思っている、リーマンショックでも白物家電は大丈夫だったように、絶対に足が何本か必要だ。うまくいった事業がその後もずっと伸び続けることは歴史的に絶対にない」と、液晶事業のみに頼らない事業構造にしていくと説明。
一方で「業績回復には、短期的には選択と集中だろうが、それだけでは持たない」ともコメント。これについて「今のポートフォリオを変えずに新規計画を作るということでいいのか?」という質問も出たが、「同じディスプレイでも昔のCRT(ブラウン管)と今の液晶といったように事業は新陳代謝していくもの。名前が一緒でも中身が変わることもあるだろうし、名前が変わることもあるだろう。決して今事業体にこだわるものではない」とした。
■子会社の譲渡や株の売却なども
そのほか、同社では連結子会社(孫会社)のRecurrent Energy,LLC(リカレント社)を、カナダの太陽電池パネルメーカーCanadian Solor Inc.(CS)の米国法人Canadian Solor Energy Acquisition Co.(CSEA)に譲渡。合わせて、子会社のSharp US Holding Inc.(SUH)の株式全部をMomentum Partners,LLC(モメンタム)に売却することも決定。