開発者らが特徴を紹介
ダイヤより硬い素材のメリットとは? マクセルが新ハイレゾイヤホン“Graphene”の説明会実施
だが、開発は難航したようで「ブルーレイなど光学ディスクで蒸着技術のノウハウを持っていたので、金属コーティングも簡単だろうと思ったのだが、実際にやってみると周波数帯域も20kHzが関の山で、従来とあまり変わらなかった。1年くらい色々と試したが、効果が出なかった」と当時を振り返る。
その状況を変えたのが、ヘッドホン「MXH-MD5000」で実用化されたベリリウム素材との出会い。「ベリリウムで40kHzまで伸びることが分かったら、もっと音の伝播速度が早いものがないかと欲が出た」と芝氏はコメント。「ダイヤを使えないかと色々挑戦したが、今の技術ではダイヤを振動板に利用するのは難しかった。そのときにちょうどグラフェンに出会った」と続けた。
なお、複合ドライバー製品を開発していた当時には、製品化には至らなかったが同軸ダイナミックドライバーなどでの開発にも挑戦したとのこと。「もしかすると、今後うまくいけばこうした製品も世に出てくるかもしれない」とも述べた。
■1万円前後のハイレゾモデルが人気。「ハイレゾユーザーの裾野が広がっている」
そのほか、前述のようにMXH-GD200はステンレス合金とカーボン充填の高剛性ABS樹脂のハイブリッドボディを、一方のMXH-GD100は高剛性アルミニウム合金とABS樹脂のハイブリッドボディを採用。GD200ではステンレス合金で振動を抑制すると同時に、カーボンを混ぜ込んで硬度を高めた樹脂ハウジングによって音が引き締まるとし、GD100でもアルミ合金での振動抑制に加えて、アルミの持つ固有振動の影響で抑えら切れない振動については樹脂で抑制していると説明した。
河原氏はまた、販売数量自体はほぼ横ばいである一方で金額では伸長しているという国内ヘッドホン市場の状況も紹介。比較的効果なハイレゾ対応モデルが単価を引き上げていると説明する。
そして、そのなかでも1万円前後のハイレゾ対応モデルが3割を占める状況で、この7月には約35%にまで構成比が上がっていると紹介。「ハイレゾを買いたいユーザーの裾野が広がっている」とし、今回のグラフェン2モデル投入の背景を語った。
また、過日に行われたポタフェスでも来場者から高評価を集めたとコメント。「ブースにも行列ができて、過去にないくらいの手応えを感じた」と、製品の完成度に自信を見せた。
なお、今週末の7月28日(日)にはビックカメラ有楽町店で店頭試聴会も開催。当日10時から18時まで、新モデルを試聴できるようにする。