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新マウントで勝負に出た戦略モデルの実力

ソニー“α”は新たなステージへ − 新開発デバイスてんこ盛りの「NEX-5」を試す

公開日 2010/06/15 13:12 編集部:風間雄介
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■使いやすいユーザーインターフェース

正直、最初にNEX-5を触ったときは、せめてモードダイヤルくらいは付けて欲しかったと思った。だが、いざ実際にある程度長時間使ってみると「モードダイヤル無くてもいいじゃん」と思えるくらいユーザーインターフェースがよくできていた。

すべての設定は、上下左右ボタン/回転ホイール兼用の「コントロールホイール」と、その上下に備えた2つのソフトキーで行う。ソフトキーは状況に応じて役割が変わる仕組みだ。

コントロールホイールとソフトキーで様々な設定を行う

触ってみて感心したのは、指先の操作に遅延無く画面が追随する動作の軽快さだ。選択したアイコンやメニューはポップアップ表示されるのだが、このアニメーションもキビキビしていてとても気持ちいい。操作がもっさりしていると設定を変えるのが億劫になってしまうものだが、NEX-5のUIは、むしろ積極的に触って色々といじりたくなる。

モード切替についても、「おまかせオート」設定時以外なら、たいていの状況でコントロールホールからワンステップで機能が呼び出せる。すると画面に本物のモードダイヤルのようなグラフィックが大きめに表示され、コントロールホイールを回せばそれにあわせてモードが切り替わる。とてもスピーディーに切替が可能なので、モードダイヤルを省略したのも頷ける。

「おまかせオート」時以外は、ほとんどの状況でコントロールホイールの決定ボタンからダイレクトにモード変更が可能

なお、コントロールホイールの上下左右で露出やフラッシュ設定などにダイレクトに飛べるので、ひんぱんに使う設定はスピーディーに行えるし、状況に応じたソフトキーの機能アサインも大変賢い。

ただし、このユーザーインターフェースは、オート撮影を多用するような初心者にとっては使いやすいが、ISO感度の変更やAF/MFの切り替えなど、少し高度な機能を使おうと思うと、そのたびにメニューを呼び出して階層を辿らなければならない。またコントロールホイールの上下左右ボタンに割り当てる機能も変更できない。このあたりは、設定を頻繁に変える一眼中〜上級者の場合、やや不満を感じる部分かもしれない。

初心者アシストという面では、機能/設定の解説などを表示する「ヘルプガイド」も便利だ。初心者にとっては呪文のように感じられるであろう機能の意味を、いちいちマニュアルとにらめっこして調べる必要がない。説明テキストも簡にして要を得た印象だ。

さらに撮影のコツをわかりやすいテキストで紹介する「撮影アドバイス」機能も、一眼初心者は重宝するだろう。アドバイスを一通り読んでみたが、日常的に一眼カメラを使っていて、しかもソニー製の比較的新しめのコンデジを所有している記者も「なるほど」と感じるアドバイスがいくつかあった。

ほかに用意されているハードウェアボタンは再生ボタン、動画ボタン、シャッターなどだが、いずれも適切な場所に配置され、いきなり使い出しても指先が迷ってしまう場面は少ない。動画ボタンは少々押しづらい場所にあるが、これは押し間違いを避けるため、あえてそうしたのだろう。また、シャッターを押し込んだ際の感触も適切で、一眼カメラらしい高級感が感じられる。

一連の操作を行うディスプレイは、約92万ドットと高精細で、チルト可動機構も装備。上方向に80度、下方向に40度のチルトが行える。アイコンやフォントが美しく表示され、視認性が高いだけでなく、コントラスト比も高いので撮影時の実用性も高い。さらに外光の映り込みを低減するTluBlack技術を採用しているほか、照度センサーで周囲の明るさを検知し、それに合わせて画面輝度を時調整する機能も内蔵している。

ディスプレイは上方向に80度、下方向に40度のチルトが可能

この照度センサーは地味なようだが、とても実用的な機能だ。撮影場所の環境光に応じた画面輝度になるため、プレビューしたときの画像と、いざPCに取り込んで確認し、印刷した際の印象が大きくズレない。照度センサーが無い機種では、カメラのディスプレイで見たときは適正な露出だと思っていたのに、実際に取り込んでみたら明るすぎたり、あるいは暗すぎたりしてガッカリ、というケースも少なくないのだ。

ディスプレイの性能が今ひとつ、というモデルも他社にはあるようだが、ミラーレス機にとって液晶ディスプレイは撮影・操作を行うときの生命線だ。ここにしっかりとコストをかけてきたNEX-5の商品設計には好感が持てる。

次ページいよいよ撮影 − とにかくボケまくる!

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