3D/2D画質や機能が大きく向上
さらなる進化を遂げた“モンスター” − 折原一也の新「CELL REGZA」ファーストインプレッション
■2D画質も大きく進化した
第2世代CELL REGZAは3D以外も大きく進化している。
注目ポイントの1つ目は、2D映像の高画質化技術「CELLレグザ ブロックノイズクリア」の搭載だ。
55V型クラスの大画面ともなると、地上デジタル放送などではそのサイズゆえ、どうしてもノイズが目立ちやすい。そのなかでもCELL REGZA第一世代の「55X1」はノイズの抑制において最も健闘しているモデルで、筆者の気に入っていたところでもあったが、第2世代のCELL REGZAでは「CELLレグザ ブロックノイズクリア」を追加したことにより、従来の弱点だった番組のテロップ周りのノイズを大幅に軽減。大画面を間近に見ても気にならないレベルに抑えていた。
2D画質については「3DメガLEDバックライトコントロールシステム」、上位機であるX2のみに導入される4倍速パネル+16分割画面スキャンによる「ハイスピードクリア4倍速」にも注目したい。かんたんに言うと残像軽減技術だが、デモ映像では映像の尾引きがほとんど関知できないレベルで、動画性能についても高いポテンシャルを持っていることがわかった。
■録画機能もより使いやすく改善
2つ目は「タイムシフトマシン2」の搭載だ。基本スペックはHDD容量3TB、最大8チューナーと同等だが、新モデルでは録画チャンネルを減らす設定や、曜日別の時間帯設定が可能になり、カスタマイズ性を向上させている。ちなみに従来は、8チャンネル録画から減らしても録画できるのは最大約26時間のままだった。今回の改善により、正しくHDD容量を使い切るようになったと考えれば良い。
実際に試作機に触れてみると、第1世代のユーザーとしてはリモコンが軽量化したことにすぐに気づく。第2世代のリモコンはREGZA付属のものに似た薄型のものに変更されているのだ(無指向性の無線リモコン仕様はそのまま)。
また、従来はリモコン中央部に位置していたタッチパッドも廃止されている。55X1のリモコンでは内蔵のOPERAベースのインターネットブラウザの操作で使用できたものの、お世辞にも操作性に優れているとは言い難かっただけに歓迎したい変更だ。
■録画機能もより使いやすく改善
3つ目は、CELL REGZA自体の進化ではないが、「REGZAブルーレイ」(関連ニュース)の登場だ。
今回のREGZA発表と同時に「REGZAブルーレイ」へブランドを変えて発表されたBDレコーダー新モデル「RD-X10」「RD-BZ800」「RD-BZ700」「RD-BR600」は、単体レコーダーとしてももちろん使えるが、CELL REGZAやREGZAとの連携機能も充実している。
もちろんCELL REGZAからのダビングの受け側としても動作するが、特にBDへのダイレクトダビングに書き込みに、バージョンアップで対応する予定であることにも注目したい。
REGZAブルーレイの登場によって、CELL REGZAのタイムシフトマシンで録画した番組を、最終的にBDメディアに書き出す道筋が確保されることになる。両者を組み合わせることで、CELL REGZAを「オールインワン」に近い録画テレビとして考えることも可能になったのだ。
第二世代CELL REGZAの注目ポイントを見てきた。3DにもCELLの能力を有効活用し、同時に2D画質、機能の作り込みについても、従来通り志が高いことに感心させられた。
第二世代モデルの最上位機種である「55X2」の店頭価格は第一世代と同じく約100万円。55X1は発売後、3Dテレビに話題が飲み込まれてしまった感がある。それだけに、3Dにしっかりと対応してきた2010年仕様のモンスターマシンの発売を期待して待つとしよう。
折原一也 プロフィール
埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。