最新スマートフォン/iPod 7機種の音質を徹底比較！ − 編集部員がガチンコ・クロスレビュー

間奏のギターの中域は鼻の奥の方から匂いがしそうに鳴るし、左右の手拍子にもそれなりに立体感がある。ビジュアルイメージで例えるなら「原色」といった感じで、輪郭がはっきりしている『For Anyone』だった。個人的に出だしの疾走感は微妙に平面的な雰囲気があって欲しいと思っているので、あまり理想の再生ではなかった。全体的に今回の楽曲との相性は最高ではないため8点としたが、高/中/低域それぞれ音がシンプルにしっかりしていて楽しめる。

バスドラムやタム回しなど、ドラムの音をしっかり確認できる。ベースの動きの激しさも気持ちよく、重低音の演出が巧みな印象を受けた。ギターの歪みも音の太さのようなものを感じさせ、中音域から低音域に対して強さを持っているのかもしれないと感じる。反面、高音域のシンバルなどはもう少し聴かせて欲しい部分もあった。サビでの各楽器とボーカル、コーラスのシャウトなどのバランスはとてもよくまとまっていた。

全体的に、とてもバランスの取れた音。中庸とも言えるが、長時間聴いても聴き疲れがせず、それでいて細かなディテールを描き分ける能力もなかなかのもの。ピアノはかなり音が丸まり、まろやかな音調。和音などに若干歪みっぽさを感じる場面もある。だが低域はもう少し制動して欲しいし、沈み込みも若干足りない印象。反面、高域はかなり上までしっかり描き、ブラシの実在感もなかなかのレベル。ただし繊細な描写ができているとまでは言えない。音場の広がり感は、今回聴いた中では上位の部類。