実売10,000円台のクオリティとは?
音質×設置性×価格で選ぶPCスピーカー6選 − 新人記者がホンネでレポート
スリムな縦型でPC横の設置に最適なバランス感のあるモデル
■ソニー「SRS-Z100」
¥12,390(税込)製品サイト
ここまでの2機種を試聴したところですっかり「PCスピーカーはナメてかかれない」という考えになった記者が次に聴いたのは、SRS-Z100だ。こちらもPCとの接続はヘッドホン端子を使用するタイプ。梱包物はスピーカー本体とAC電源のみで、PCや「L」「R」間を接続するケーブルは予めLch本体に装備されている。個人的には、筐体前面に「L」「R」の表示があるのが非常にわかりやすく、ありがたい。
本体質量は1,020g(Lch)だが、持ってみると筐体の印象より軽量に感じた。左右chを繋ぐケーブルは長さに余裕があり、机の後方から回り込ませることもできる。サイズは約84W×230H×156Dmmの縦長形状で、PCの隣にも収まりが良く、設置時のストレスがほとんどない。スピーカーユニットは57mmフルレンジと21mmトゥイーターをマウントする2ウェイタイプだ。
さて実際に試聴を開始してみると、偏った強烈な個性を持つというよりは、今回試聴した曲それぞれに対してバランスを保っている。iTunes内の音源だけではなくYouTubeでストリーミング再生も楽しんでみようと、アルカーディ・ヴォロドスのピアノ演奏『トルコ行進曲』『ウェディング・マーチ』を再生してみた。どちらも生演奏シーンを録画したものだ。PC内蔵スピーカーだけでこれを再生すると、音符が飛び散るかのように爆演するヴォロドスの映像に対し、音が消極的すぎて大変おかしいバランスになる。しかし本機をPCにつないで再生すると、ヴォロドスが激しく鍵盤を叩く姿とそこから弾き出されるメロディとが同次元でまとまって、迫力を感じさせながらも均整が取れている。
仕様表を確認してみると、小音量時に低音域の再現を確保する独自技術「MEGABASS」というものが採用されている。これが、音量に左右されないバランス感のある再生に影響しているのだろうか。今回試聴した感じでは、低音はドンドン強調されるというよりもやや控えめな印象で偏りがなく、聴いていて疲れない。
様々なジャンルの音楽をバランス良く鑑賞できるうえ、PC脇の縦空間を利用できる筐体デザインや設置時にストレスがない製品構成から、ユーザーの使い勝手も考慮された「優等生」な印象のスピーカーだ。
目の前が拓けるようなクリアな再生をするモデル
■BOSE「Companion 2 Series II multimedia speaker system」
¥12,600(税込)製品サイト
さて4機種目は、Companion 2 Series II multimedia speaker system。こちらもPCのヘッドホン端子と接続するタイプだ。これまで聴いた3機種と比べ、記者が一番違いを感じたのは、再生される音の「透明感」だった。ベタ塗りの重厚感ではなく、音が半透明でクリアなイメージなのだ。
エレクトロニカなど打ち込み系の音楽は透明感のある再生が合う…と思っている記者の個人的な好みにより、今回聴いた中ではAphex Twinが印象に残った。『Girl/Boy Song』を再生すると、引きちぎれそうな電子音のリズムが目の前で水しぶきを上げているようなイメージだ。決して叙情的ではなく、クリアに楽曲の美しさが引き立っている。さらに作者の悪意や虚栄心を感じるような、『Inkey$』といった曲のリズムまでクリアな悪意に聴こえるのもまたオツだ。
この聴感を作り出す筐体の構造はどうなっているのだろう。仕様表を確認すると、様々な技術が寄与していることがわかった。まずこの斜めの形状。スピーカーから出た音が机にぶつかった場合の反射音の影響を低減するために、フロントバッフルを後方に約15度傾けているのだという。また、独自の「TrueSpace ステレオ・デジタルプロセッシング回路」の搭載により、スピーカーの外側にステレオイメージを広げている。
梱包内容は、AC電源、プラグ+、RCA→3.5mmケーブル。音声入力はRCA2系統を備えているので、PC以外の再生機器とも同時接続が可能だ。また、電源スイッチが音量ノブと同一になっており、スマートに操作できるのも、細かなことながら記者的にはポイントが高い。
さて、1機種聴くたびに次々と新しい個性が現れるのが面白くなってきた。実は試聴を開始するまで、「自分のようなヒヨッコに違いがわかるのだろうか?」と思っていたのだが、杞憂だったようだ。次はいよいよ、見た目がガッシリしており、設置にやや苦労しそうな大型モデルを聴いてみる。