「明るい3D映像」の実力とは
ワイヤレス対応で驚きの“使いやすさ”を実現 ー エプソンのプロジェクター「EH-TW6000W」を徹底研究
2D画質の飛躍にも大きな成果が実感できる
ランプの出力を「エコ」側に設定し、シネマモードで『インセプション』を視聴した。EH-TW8000Wもそうだが、明るさとコントラストに余裕があるので、100インチ前後のスクリーンならこの設定でまず不満は感じないはずだ。
人物や部屋の調度など、質感描写のきめが細かく、テクスチャーの豊かさで立体感を引き出すことに成功している。黒の締まりは上級機ほどではないが、リビングで見るなら、その差は暗室環境ほど大きくならない。屋外シーンでは本機のコントラストの高さがダイナミックな映像表現にピタリと合致し、コクのある力強い映像を堪能することができた。
細部の描写はかなり踏み込んだ印象があり、この作品では画質設定項目で、“シャープネス”を1から2ステップほど下げることでなめらかなタッチを引き出すことができる。
また、メニューを呼び出してシャープネスを調整する際、「スタンダード」から「アドバンスド」に切り替えると水平、垂直など細かい調整項目を呼び出すことができ、僅かに残る強調感を抑えて、さらに自然な質感を狙うこともできる。本機とTW8000Wではシネマモードが1つに統一されているので、詳細設定を活用し、好みの映像に追い込むことが使いこなしのポイントだ。
『ソーシャル・ネットワーク』ではこの作品のディテール情報の豊かさを巧みに引き出していることに気付く。ナイトシーンや屋内の場面では誇張のない落ち着いた色調を再現し、陰影豊かな映像を見せた。
EH-TW6000WはWirelessHDを内蔵する仕様でも20万円台前半という戦略的な価格に設定されている。本機の基本性能を考えると、コストパフォーマンスの高さには際立ったものがある。本格的な3Dプロジェクターとして、ライバルにとっては脅威になるのではないだろうか。
エプソンは長年に渡ってホームプロジェクターの普及に力を入れてきた経緯があり、そのコンセプトはこれまでも大きな成果を上げてきた。水準の高い映像を使用環境を選ばずに楽しめる本機は、エントリーモデルの価値を一気に引き上げ、プロジェクターの普及をさらに前進させるに違いない。
【EH-TW6000W/SPEC】
●液晶パネル:0.61型ワイドポリシリコンTFT液晶パネル ●画素数:1,920×1,080画素 ●投写レンズ:1.6倍マニュアルズームフォーカスレンズ、f=18.2-29.2mm、F1.5-1.99 ●光源:230W(E-TORL) UHEランプ ●明るさ:2200lm(最大) ●コントラスト比:40,000対1 ●騒音レベル:24dB(最小) ●接続端子:HDMI×2、コンポジット×1、音声L/R×1、コンポーネント×1、PC×1、USBタイプA(2.0)×1、RS-232C×1、RJ45(外付け3Dエミッター用)×1 ●消費電力:372W/0.26W ●外形寸法:420W×137.3H×365Dmm ●質量:約6.2kg
【EH-TW6000/SPEC】
●液晶パネル:0.61型ワイドポリシリコンTFT液晶パネル ●画素数:1,920×1,080画素 ●投写レンズ:1.6倍マニュアルズームフォーカスレンズ、f=18.2-29.2mm、F1.5-1.99 ●光源:230W(E-TORL) UHEランプ ●明るさ:2200lm(最大) ●コントラスト比:40,000対1 ●騒音レベル:24dB(最小) ●接続端子:HDMI×2、コンポジット×1、音声L/R×1、コンポーネント×1、PC×1、USBタイプA(2.0)×1、RS-232C×1、RJ45(外付け3Dエミッター用)×1 ●消費電力:372W/0.26W ●外形寸法:420W×137.3H×365Dmm ●質量:約6.0kg
山之内正 プロフィール
出版社勤務を経て、音楽の勉強のためドイツで1年間過ごす。帰国後より、デジタルAVやホームシアター分野の専門誌を中心に執筆。趣味の枠を越えてクラシック音楽の知識も深く、その視点はオーディオ機器の評論にも反映されている。
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