AV機能を中心に実力検証
【レビュー】「iPhone 5」の実力を全方位テスト
■LTEの絶対的な速度、レイテンシーの小ささを確認
速度と言えばもうひとつ、iPhone 5の目玉はLTE対応による通信速度のアップだ。取材場所である音元出版は秋葉原駅近くのビルに入っているのだが、本日すでにKDDI(au)のLTEが開通していた。そこで計測アプリを利用し、その実行速度を確認した。
結果、ダウンロード速度は平均10Mbps弱で、最速では26Mbps程度まで出た。現状のLTEの理論値は75Mbps。実測でこの数値はかなりの高成績だ。もっとも今後iPhone 5が普及してくれば回線が混雑してくるのかもしれないが。
またネットワークの反応速度を示すPing値は、3G回線が150ms付近であるのに対してLTE回線は80ms付近と、LTEの方がレイテンシーが小さい。この点もネット利用の快適度を地味ながら確実に高めてくれるだろう。実際、Safariでのウェブブラウジングのページ移動、クライアントアプリでのTwitterのタイムライン表示や更新のサクサク感は、3G回線では体験できなかったレベルだ。
■ディスプレイとカメラのクオリティと使い勝手
ディスプレイはサイズが拡大されただけではなく、画質も向上したとされている。Apple曰く「iPhone 4Sより彩度が44パーセント向上」だ。
実際にiPhone 4/4Sと並べて比べてみるとまず、iPhone 5の方が色温度が低いと感じられる。つまりiPhone 4/4Sより青みが弱まり、暖色系だ。改めて確認してみると、iPhone 4/4Sよりもこちらの方がより自然な色合いに思える。
自然ではあるが、色味はより鮮やかになっている。カメラで植物を撮影してそれをiPhone 4にも転送して見比べてみると、花びらの紫は赤味を少し強めて、葉の緑は瑞々しさを増して鮮やかだ。
また撮影時は外は雨混じりの曇天だったが、iPhone 5のディスプレイに映る景色は雲が少し薄れたかのように、少し明るい。実際に目視した明るさと差があるという意味では必ずしも良いことばかりではないが、写真の見栄えとしては悪くない。このあたりは、インセル型タッチパネルディスプレイとなったことでディスプレイの層がひとつなくなっていることが大きいのだろうか。また明るさを高めながらも黒の沈み込みが良く、コントラストが鮮やかだ。
最後に見慣れた音楽のアートワークで比較してみると、違いはさらにわかりやすかった。色の鮮やかさ、全体のくっきり感などに大きな差がある。ディスプレイ性能は確実に向上したと言ってよいだろう。