AV機能を中心に実力検証
【レビュー】「iPhone 5」の実力を全方位テスト
■カメラ性能をiPhone 4Sと比較する
続いてはカメラをチェックする。
撮影した写真をPC/Macに転送し、縮小した状態で比較すると、iPhone 4Sで撮影されたものと比べ、画質の絶対的な向上はそれほど感じられない。強いて言えば、同じ被写体をiPhone 4Sで撮影したものよりも少し色味が濃く鮮やかで、またビル街の遠景などでは解像感が少し強められているようには感じる。しかしいずれにせよ、決定的な差ではない。
この点については、iPhone 4Sの時点で撮影素子も絵作りのチューニングも完成度が高かったと考えるべきだろう。それをあえて大きく変更する必要はない。
ただし撮影した写真の一部を切り出して拡大すると明らかな差が見えてくる。ビル街の遠景で奥の方に映っていた標識を拡大すると、iPhone 5で撮影した写真の方が明らかに輪郭が明瞭で解像感が高い。比べるとiPhone 4での同じ部分は輪郭が崩れている。また高架道路下の暗部などでは、iPhone 5で撮影した写真の方がノイズ成分が少ない。
これらは「撮影した写真をPC/Macに転送し、拡大すればわかる」という程度の差だ。しかしiPhone 4Sから基本線を維持しつつ、チューニングをさらに詰めてきたことは確認できた。
■ワイド画面はビデオ撮影にも適した
カメラ周りの使い勝手の面では、まずは前述したHDR保存を含めて動作の軽快さが大きい。そしてもうひとつは、ビデオ撮影時の表示画角だ。ワイド化されたディスプレイが力を発揮する。
iPhone 4/4Sでは、撮影時に表示されている画面と、撮影される映像の映る範囲(画角)を一致させるには、画面をダブルタップして画面上下に黒枠が入る縮小モードにする必要があった。そうしないと、写したつもりのない範囲まで広く撮影されてしまい、中心に大きく写すつもりだった人物が思ったよりも小さく撮れたりということがあるわけだ。しかも縮小モードでは見え方が小さくなるので、それはそれで感覚が狂う。
対してiPhone 5はディスプレイのアスペクト比が撮影アスペクト比と同等の16対9なので、縮小の必要なく撮影範囲全体を表示できる。画面右側の撮影ボタン等の表示スペースが透明化されていることもあり、撮影画面の全体を見渡した撮影が可能となった。ビデオ撮影を多用する方にとっては大きな進化だ。