[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第25回】あの実力派 卵スピーカーの弟分! オラソニック「TW-S5」を聴く
■あの実力派・卵形スピーカーにコンパクトで低価格な弟分が登場
ぶっちゃけ正直初めて写真をそして実物を見たときには不安を覚えた。「これ…だいじょうぶなんだろうか…」。それが、東和電子の自社ブランド“Olasonic(オラソニック)”のデビュー製品である卵形のUSBスピーカー「TW-S7」に対する最初の印象だった。
奇をてらったとも思える卵形状に、価格も妙に安い。いまにして思えば我ながら浅い考えであったが、当時初めて名前を聞くブランドから突然そんなスピーカーを出され、僕はそう思ってしまったのだった。
ところが実物で音を出してみると、これがすこぶる良かった。2010年4月の発売当時から現在に至るまで、実売1万円程度のUSBスピーカーとしては僕の中でベストな製品。もっと上の価格帯と並べても決して劣らないといえるスピーカーだ。
で、そこに加えてこのたび新たに登場したのが、その弟分となる新モデル「TW-S5」だ。簡単に言えば、TW-S7を小型化して設置性を向上させ、あとお値段もさらにもう少しお安く(予想実売価格8,800円前後)なったというモデルだ。より多くのユーザーの設置環境とお財布事情にフィットしてくれそう。これはチェックせねばっ!
■シリーズ共通の仕様はしっかり継承 − パッシブラジエーターで豊かな低音再生
まずはシリーズ共通、TW-S7譲りの部分を中心に、技術的な特長を押さえておこう。
卵形のエンクロージャーは、ドライバーユニットから放出された音がエンクロージャー周囲に回り込んで乱れる「回折」という現象が起こりにくいことが利点。音が素直に耳に届くため、音の定位(空間への音の配置)に優れる。また卵形は剛性も高いため、エンクロージャーの不要な共鳴も抑えられ、そこも音質面で優位だ。
さらにドライバーユニットの前面同軸上には、デフューザー(整流器)が設置されている。高音を良い具合に拡散させる効果があり、よりシャープな定位とクリアな音場を得られるというものだ。
そしてエンクロージャー背面、ドライバーユニットの背面同軸上にはパッシブラジエーターが搭載されている。パッシブラジエーターは大雑把に言うと、ドライバーユニットから磁気駆動部分を外して振動板とその支えのみを取り出したような構造の部品。これがドライバーから背面に放出される低音に共振することで、低音が増強されるという仕組みだ。
アンプ部分の特徴はまずはUSBバスパワー駆動であること。電源ケーブルの接続が必要ないため、設置性に優れる。一方バスパワー駆動の弱点はUSBから供給される電力が限られているためにアンプのパワーを確保しにくいことだが、このシリーズは独自技術「Super Charged Drive System=SCDS回路」でそれをクリアしている。
これは、大容量コンデンサーという部品を瞬間的な充電池のように利用するもの。再生中で大きなパワーが必要ない瞬間には余剰電力をコンデンサーに充電し、パワーが必要になった瞬間にはそれを放出するという仕組みだ。これによってこのクラスの小型スピーカーの駆動には十分すぎる、左右各10Wという最大瞬間出力を実現している。
なおドライバーユニットの振動板口径は、TW-S7の60mmに対して本機は50mm。しかしそれを駆動するマグネットの口径はTW-S7と同じ55mm。余裕のある磁気回路によって、力強く正確な駆動を期待できる。
なお本体にはスイッチ類が一切ない。電源スイッチがないので接続中は常に電源オンだ。しかしこれのアンプ回路はデジタルアンプであるので、音を出していないときの消費電力は少ない。こまめな電源オフは必要ないとの判断であろう。またボリュームについては、パソコン側の再生アプリ等で調整することになる。
残念に思う方がいるかもしれないのは、USB入力を受けるDAC部分は48kHz/16bitまでの対応であるということ。いわゆるハイレゾには対応しない。ただ実際問題として、このクラスのスピーカーを形だけ、スペック上だけでハイレゾ対応にすることには、それほどの意義はないだろう(もちろん対応であればそれにこしたことはないが)。だったらその分のコストを他の部分に投入して実質的な音質を向上させる、あるいは価格を安くした方がよいという判断と思われる。
■さっそく試聴! TW-S7の空間表現性は継承されているのか?
では試聴チェック! あとの楽しみとしてここまで言わずに我慢してきたが、TW-S7のいちばんの素晴らしさはその定位であり音場であり、つまりは空間性の素晴らしさ。それはちゃんと継承されているのか!?
もう我慢できないので結論から言ってしまうと、その点は見事に継承されていた!
ぶっちゃけ正直初めて写真をそして実物を見たときには不安を覚えた。「これ…だいじょうぶなんだろうか…」。それが、東和電子の自社ブランド“Olasonic(オラソニック)”のデビュー製品である卵形のUSBスピーカー「TW-S7」に対する最初の印象だった。
奇をてらったとも思える卵形状に、価格も妙に安い。いまにして思えば我ながら浅い考えであったが、当時初めて名前を聞くブランドから突然そんなスピーカーを出され、僕はそう思ってしまったのだった。
ところが実物で音を出してみると、これがすこぶる良かった。2010年4月の発売当時から現在に至るまで、実売1万円程度のUSBスピーカーとしては僕の中でベストな製品。もっと上の価格帯と並べても決して劣らないといえるスピーカーだ。
で、そこに加えてこのたび新たに登場したのが、その弟分となる新モデル「TW-S5」だ。簡単に言えば、TW-S7を小型化して設置性を向上させ、あとお値段もさらにもう少しお安く(予想実売価格8,800円前後)なったというモデルだ。より多くのユーザーの設置環境とお財布事情にフィットしてくれそう。これはチェックせねばっ!
■シリーズ共通の仕様はしっかり継承 − パッシブラジエーターで豊かな低音再生
まずはシリーズ共通、TW-S7譲りの部分を中心に、技術的な特長を押さえておこう。
卵形のエンクロージャーは、ドライバーユニットから放出された音がエンクロージャー周囲に回り込んで乱れる「回折」という現象が起こりにくいことが利点。音が素直に耳に届くため、音の定位(空間への音の配置)に優れる。また卵形は剛性も高いため、エンクロージャーの不要な共鳴も抑えられ、そこも音質面で優位だ。
さらにドライバーユニットの前面同軸上には、デフューザー(整流器)が設置されている。高音を良い具合に拡散させる効果があり、よりシャープな定位とクリアな音場を得られるというものだ。
そしてエンクロージャー背面、ドライバーユニットの背面同軸上にはパッシブラジエーターが搭載されている。パッシブラジエーターは大雑把に言うと、ドライバーユニットから磁気駆動部分を外して振動板とその支えのみを取り出したような構造の部品。これがドライバーから背面に放出される低音に共振することで、低音が増強されるという仕組みだ。
アンプ部分の特徴はまずはUSBバスパワー駆動であること。電源ケーブルの接続が必要ないため、設置性に優れる。一方バスパワー駆動の弱点はUSBから供給される電力が限られているためにアンプのパワーを確保しにくいことだが、このシリーズは独自技術「Super Charged Drive System=SCDS回路」でそれをクリアしている。
これは、大容量コンデンサーという部品を瞬間的な充電池のように利用するもの。再生中で大きなパワーが必要ない瞬間には余剰電力をコンデンサーに充電し、パワーが必要になった瞬間にはそれを放出するという仕組みだ。これによってこのクラスの小型スピーカーの駆動には十分すぎる、左右各10Wという最大瞬間出力を実現している。
なおドライバーユニットの振動板口径は、TW-S7の60mmに対して本機は50mm。しかしそれを駆動するマグネットの口径はTW-S7と同じ55mm。余裕のある磁気回路によって、力強く正確な駆動を期待できる。
なお本体にはスイッチ類が一切ない。電源スイッチがないので接続中は常に電源オンだ。しかしこれのアンプ回路はデジタルアンプであるので、音を出していないときの消費電力は少ない。こまめな電源オフは必要ないとの判断であろう。またボリュームについては、パソコン側の再生アプリ等で調整することになる。
残念に思う方がいるかもしれないのは、USB入力を受けるDAC部分は48kHz/16bitまでの対応であるということ。いわゆるハイレゾには対応しない。ただ実際問題として、このクラスのスピーカーを形だけ、スペック上だけでハイレゾ対応にすることには、それほどの意義はないだろう(もちろん対応であればそれにこしたことはないが)。だったらその分のコストを他の部分に投入して実質的な音質を向上させる、あるいは価格を安くした方がよいという判断と思われる。
■さっそく試聴! TW-S7の空間表現性は継承されているのか?
では試聴チェック! あとの楽しみとしてここまで言わずに我慢してきたが、TW-S7のいちばんの素晴らしさはその定位であり音場であり、つまりは空間性の素晴らしさ。それはちゃんと継承されているのか!?
もう我慢できないので結論から言ってしまうと、その点は見事に継承されていた!
次ページ音質、空間性、定位…コンパクトながら従来モデルTW-S7ゆずりの実力派!