[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第35回】Mac用高音質プレーヤー「Audirvana Plus」使いこなしテクニック
■「Audio System」タブの設定を徹底解説
・Preferred Audio Device
いちばん上にある「Preferred Audio Device」は出力機器の選択を行う設定。これは他の設定とは違い、Audirvana Plusを使う上で必須の基本設定と言える(初回起動時には別の画面で設定を促される)。
「Change」ボタンをクリックして、Macに内蔵されているオーディオ回路(Built-in Output)もしくはMacに接続されているUSB-DAC等を選択。するとその機器に向かって音声データが送り出され、その機器を通して再生されるようになる。
出力機器を選択すると、その下の「Active Audio Device」の欄に、そのオーディオデバイスの対応仕様が表示されるようになる。そこに付記されているのが、DSD関連の設定だ。DSD対応DACと合わせてDSD再生を行う場合には、ここの設定が必要になる。
・Native DSD Capability
「Native DSD Capability」はDSDデータのUSB伝送方式の設定だ。
「Automatic Detection」にしておけば名前の通りに自動的に適切に選択されるので問題ない。…と言いたいところなのだが、僕が試してきた範囲ではここは「Automatic 〜」ではうまく動いてくれなかった。MacにおけるDSD伝送のスタンダードはDoPなので、機器側がそれに対応している場合はAudirvana Plus側の設定も手動で「DSD over PCM standard 1.0」を選択しよう。するとうまく動いてくれる。
・Low level playback options
「Low level playback options」も要注目の欄だ。
まず「Exclusive access mode」はいわゆる排他モード。これが有効になっている場合、Audirvana Plusで音楽を再生中には、選択されている出力機器がAudirvana Plusに占有されて、システムや他のアプリの再生音(メール着信音など)は排除される。余計な音の割り込み、ミキシングを排除することで処理の精度を高め、音質を向上させる仕組みだ。もちろん余計な音が割り込んでこないことは、集中して音楽を聴く環境づくりにも役立つ。この設定は基本的に有効にしておくのがよいだろう。
・Use max I/O buffer size
「Use max I/O buffer size」は、音声処理のバッファ(データを一時的にある程度溜めてから処理することで、その処理を円滑にする仕組み)の容量を最大限にまで活用するという設定。これもやはり有効にした方が音質面では優位だ。僕の耳では決定的な差とは感じられないが、細かな向上の積み重ねのひとつとしては見落とせない。
しかしこの設定を有効にすると、動作がやや不安定になる場合もあるようだ。有効にした状態でしばらく使ってみて、音切れの発生やノイズ混入、アプリの安定性の問題等を感じたらこの設定の見直しを行う、という流れがおすすめだ。
…というか、この部分に限らず設定項目の変更は、音質と安定性をその都度確認しつつのトライ&エラーで詰めていこう。
次ページ続いては、Audirvana 1.4から実装された新機能「Direct Mode」を解説