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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第37回】あえて近距離! KEFのUSB-DAC内蔵スピーカー「X300A」をデスクトップで楽しむ

公開日 2013/03/08 11:37 高橋敦
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■KEFを象徴する技術 同軸ドライバー・ユニット「Uni-Q」採用

X300Aがデスクトップで力を発揮するだろうと僕が見込んだその理由。それはX300AがKEFの象徴的技術である同軸ドライバー・ユニット「Uni-Q」を採用していることだ。ご存知の方には要らぬ説明だろうが説明しておこう。

一見するとドライバー1基のフルレンジ1発構成スピーカーにも見えるが、これがKEFの誇る同軸Uni-Qドライバー

高音再生用にトゥイーター、低音再生用にウーファーというドライバーをそれぞれ搭載する2ウェイ構成のスピーカーは、高音から低音まで幅広く充実した再生が行える。しかし一方で、高音と低音が別のドライバー=別の位置から放射されるため、そのズレによって音の定位(フォーカスや配置)が甘くなるという弱点もある。

そこで登場、同軸ドライバー! 同軸ドライバーとはざっくりと言うと、ウーファーの中央部分にトゥイーターを埋め込んだ形で合体させたドライバー。こうするとウーファーとトゥイーターの中心軸が同じくなる=すなわち同軸! これで定位の問題は解決だ!

中心部のこれが実はツイーター。妙なフィンが付いているがそれも音響的な意味がある(後述)

そしてここからは僕の意見だが、同軸ドライバーの効果はスピーカーとリスナーの距離が近いほどにより顕著になる。人間の耳はより近距離であるほどに音の出た位置を正確に認識する。デスクトップ設置での超ニアフィールド・リスニングでは、トゥイーターとウーファーが普通に別々に配置されていると、違和感をより感じやすいと言える。そこで同軸配置の効果が大きい! …はずなのだ。そこは後ほどの試聴チェックで確認したい。

■96/24USB-DAC機能付きバスレフ型スピーカー。X300Aの仕様を一挙にご紹介!

まずはX300Aのその他の概要を確認しておこう。

Uni-Qドライバーは130mm径ウーファーと25mm径トゥイーターで構成される。振動板の材質は軽量で剛性の高いマグネシウム・アルミニウム合金。軽い=軽快に振動する、剛性が高い=正確に振動するわけだ。トゥイーターの前方に設置されているフィンは「タンジェリンウェーブガイド」というもので、トゥイーターから放射される高音を良い具合に拡散させて音を調整する役割がある。

スピーカーとしての基本構造としてはバスレフ型を採用。空気を抜きつつ共鳴させて低音を増強する筒=バスレフのポートが背面に搭載されている。

すぽっと空いているバスレフポート。音量を上るとベースやバスドラムの低音に合わせてここから空気が吹き出るのがわかる

この点は本機の設置において重要なポイントだ。バスレフポートからは共鳴した低音が放出される。そのため本機の背面近くに壁面があると、そこで音が壁との間に響いて低音がさらに膨らむ場合があるのだ。この場合の膨らむというのは意図しない膨らみであり、好ましくない結果になる場合も多い。この点は試聴時に確認する。

それとも関連するが、本機にはバスレフポートに詰めるスポンジも付属する。これはポートに入れる空気抵抗であり、低音が出過ぎる場合などにはこれを使うことでバスレフの効き具合を弱くすることができるのだ。

これが付属のスポンジ。二重構造になっていて、そのまま使うか中央部を抜いて使うかでバスレフの調整の具合を選択できる

このようにバスレフポートに詰め込んで使う

USB-DAC部分の基本スペックは96kHz/24bitまでの対応。PCとの伝送にはアシンクロナス方式を採用している。本機の側のより正確なクロック(基準信号)をベースに伝送することで音質に有害なジッターの発生を抑えている。左右のスピーカーの接続部もUSBなのは面白い、というか珍しい。

次ページアンプは左右それぞれにしっかり搭載! がっつり試聴チェック

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