[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第37回】あえて近距離! KEFのUSB-DAC内蔵スピーカー「X300A」をデスクトップで楽しむ
アンプは左右それぞれに搭載されている。アンプ内蔵パワードスピーカーでは片側にステレオのアンプを搭載してもう片側はパワードではないパッシブなスピーカーにする場合もある。しかし本機は左右スピーカーの条件を揃えることを考えて、左右それぞれにアンプを搭載している。単純な話、片側にだけアンプやそれに伴う電源回路を搭載すると、そちら側だけスピーカーの内部スペースがそれで埋まってしまうわけだ。重量も変わる。それによってスピーカーのアコースティックな特性が左右でズレてしまう恐れがあり、本機はそれを避けるため左右にアンプを搭載しているのだ。
なおアンプは大型電源トランスを擁するアナログ・アンプで、トゥイーターとウーファーをそれぞれ別のアンプでドライブすることでより正確に駆動するバイ・アンプ構成。この贅沢な構成のため、背面に大型のヒートシンクが必要になっていると思われる。
このあたりは先日掲載された開発者インタービューでその意図が語られているので、そちらも読んでみてほしい(関連記事)。
背面パネルでの注目点は「SYSTEM GAIN」ノブと「EQ」スイッチだ。
SYSTEM GAINは、まあつまりはボリュームだ。ただし普段これを使ってリスニング時の音量を調整するものではない。背面にあってしかも小さいので気軽には調整できない。
使い方としては、最初にパソコン(再生アプリ)側のボリュームを最大にした後に、SYSTEM GAINを動かして適当な音量を確保。その後の普段はパソコン側のボリュームで音量を調整する。
EQはもちろんイコライザーであるが、細かな調整を行うものではなく、設置環境に合わせた二択となっている。スピーカースタンドに設置する場合は「STAND」、今回のようにデスクに設置する場合は「DESK」だ。
マニュアルに細かな説明はないが試してみたところでは、これはデスクトップ用途も想定したパワード・モニター・スピーカーではよく見られる、「デスクに設置した際にデスク面に音が反射することで低音が膨らむ分をイコライジングで減衰させる」スイッチと思われる。
さて、スペック等を確認し終えたところでついに試聴チェックだ。