折原一也が見た欧州のスマートテレビ事情
<IFA>欧州のスマートテレビ動向をレポート − 高い“スマート機能”利用率
■03:スマホ/タブレットと連動するスマート機能はもはや標準
テレビとスマホ/タブレットを利用した2スクリーンの視聴スタイルは、日韓のほか欧州や中国メーカーも一様にリモコン+αの機能として提供している。今回の「IFA 2013」におけるテレビとスマホ/タブレット連携機能としては、ソニーによる「TV SideView」アプリ(関連ニュース)が高い注目を集めていた。日本でも既に提供済みのアプリのため詳しくは触れないが、番組表を閲覧しながらチャンネル切替を行ったり、テレビ番組とネットコンテンツを一発検索することが可能。VODの操作も行える。東芝の「MediaGuide」も同様のコンセプトで横断検索を行う機能が搭載されており、力の入れ具合ではその2社が抜きんでていた。
もっとも「テレビのリモコン操作をできるアプリ」というレベルであれば、日韓だけでなく欧州、中国メーカーも含めて各社とも用意している。日本のメーカーが苦戦している「テレビのチューナーで受信した放送を手元のスマホ/タブレットでリアルタイム視聴する」という機能についても、LG、サムスンともに欧州では対応している。また、パナソニックが提供中のアプリ「Swipe&Share」も、ドイツ版ではスマホ/タブレットによる視聴に対応している。
またこの「Swipe&Share」アプリは、同社の4Kテレビ発売にあわせて高解像度写真の表示機能に対応を果たした。スマホ内蔵カメラも最近は4K相当の解像度を持つようになっており、ネットワークから手軽に4K写真を表示できるというのは一つのウリとなりそうだ。
■04:欧州でも「お部屋ジャンプリンク」が浸透中?
テレビを録画するという文化がほとんどない欧州だが、ドイツにはわずかながらそうした録画ニーズが存在する。そこでパナソニックでは「テレビやレコーダー内の録画番組をホームネットワークで共有する」という機能を、ドイツ向けにDIGAシリーズで日本同様に提供するというチャレンジを行っている。
パナソニックBDレコーダーの欧州向けモデル「DMR-BST835」は、番組録画を実行しながら同時に最大2ストリームの録画番組/放送番組の配信に対応する。ネットワーク経由でリモート録画予約を行う、日本でいう「ディモーラ」に近い機能も提供する。パナソニックは他にも「お部屋ジャンプリンク」と同様の機能も積極的にアピールしていた。
もっとも欧州モデルでは、各メーカーともテレビのセカンドスクリーンとしてのスマホ/タブレット利用はすでにメジャーになっているため、上記で紹介したような機能については目新しさというより用途提案のアピールが大きいように見受けられた。
IFA 2013の会場全体を通じたスマートテレビの扱いは、「テレビに標準で組み込まれた機能」として、例えば「ゲームアプリを大画面テレビで楽しむ」などといったようなデモで紹介されていることが多かった。特に、カメラやスティックを利用する体感型ゲームなどのアプリをテレビに内蔵したケースは今後普及していく伸びしろがありそうだ。
スマホ連携アプリについては、あくまでもテレビとスマホを連動させるアプリとして作り込む日本や欧州、中国メーカーに対して、サムスンやLGらはスマホも含めた自社クラウドサービスとの垂直統合により積極的、というのが目下の違いだろう。「スマートテレビ」という用語自体は確実に定着してきているだけに、今後の日本でも今より普及が進むことを期待したい。