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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第65回】ソニーのハイブリッドイヤホン「XBA-Hシリーズ」3機種を徹底聴き比べ

公開日 2013/11/05 12:41 高橋敦
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最初に押さえておきたいのは最も基本的な部分である、シリーズ各モデルのドライバー構成だ。

XBA-H1は直径9mmのダイナミック型ドライバー+フルレンジBA型ドライバー。

XBA-H1のドライバー構成イメージ図(ソニー製品サイトより)

XBA-H02は直径13.5mmのダイナミック型ドライバー+フルレンジBA型ドライバー。

XBA-H2のドライバー構成イメージ図(ソニー製品サイトより)

XBA-H03は直径16mmのダイナミック型ドライバー+フルレンジBA型ドライバー+超高域BA型スーパーツイーター。

XBA-H3のドライバー構成イメージ図(ソニー製品サイトより)

全モデルともダイナミック型ドライバー+フルレンジBA型ドライバーという構成がベース。BA型のフルレンジというのは、主に高域の繊細さの獲得等を役割とはしているものの、高域以下をカットしてあるわけではなく、中域あたりまでは自然にカバーしているという意味だ。逆に主に低域側を担当するダイナミック型ドライバーも高域側をばっさりとカットしているわけではなく、ドライバーの自然な特性として高域側はなだらかに落ちている。

各ドライバーの担当する帯域はすぱっと分かれているわけではなく中域では重なっている(ソニー製品サイトより)

手前からXBA-H1、H2、H3。ドライバーの径や搭載数が増えていくので、順に大きくなっていく

そして最上位のXBA-H3のみ、その基本構成にさらにもう1基の超高域用BA型「HDスーパートゥイーター」が追加される。こちらは完全に高域に特化して開発されたBA型ドライバーで、超高域の再現性をさらに引き上げるためのものだ。

各モデルのドライバーの違いについてもう少し詳しく見ていこう。まずXBA-H1とH2の違いは、ダイナミック型ドライバーの振動板の直径と素材だ。振動板の直径(面積)は、ある程度は大きければ大きいほど低音の再現性に余裕が出る。H1の9mmに対してH2の13.5mmというのは有利なわけだ。

振動板の素材は、H1については特に明記がないが、H2については「液晶ポリマーフィルム振動板」だ。これはソニーがフラグシップ級のイヤホンやヘッドホンにのみ採用してきた素材。高い剛性と広い帯域に渡る高い内部損失を兼ね備える。振動板において剛性の高さは、動作時に余計な変形が起きないために正確な駆動につながる。また内部損失の高さは、余計な共鳴が起きないことや音のキレの良さなどにつながる。

XBA-H3は、ダイナミック型ドライバーの振動板直径が16mmとさらに大きくなり、そして前述のように超高域用BA型「HDスーパートゥイーター」も搭載される。

ダイナミック型ドライバーの振動板直径の大きさの有利は、前述の通りだ。ただいたずらに口径を大きくするだけだと鈍重さが出てしまう場合もあるが、本機は液晶ポリマーフィルム振動板であるためにその心配は少ない。また本機の場合は高域側の繊細な表現についてはBA型ドライバーに任せることができるので、ダイナミック型の方ではその点を特に追求する必要がないというのもポイントだ。

HDスーパートゥイーターは、基本的に高域の再現性に強みを持つBA型ドライバーに、さらに高域に特化したチューニングを施したものだ。BA型ドライバーの振動板には鉄系の素材が使われることが多いのだが、このドライバーではアルミ系合金を採用。軽量化と高剛性化によって、超高音域再生を実現している。

わかりやすく数値を挙げると。H1とH2の再生周波数帯域の上限が25kHzであるのに対してH3は40kHz。サンプリング周波数96kHzの音源データに含まれる高域の上限が48kHzであるから、それにほぼ匹敵する。H3にだけソニーが展開する「Hi-Rez AUDIO」のロゴがつくのはこの点からだろう。

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