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バランス出力の効果は絶大。純正ケーブルも登場

ゼンハイザー初のヘッドホンアンプ「HDVD 800」「HDVA 600」徹底レビュー

公開日 2013/11/07 12:24 岩井喬
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HD 800のバランス接続を聴くと元には戻れない

そして最後にフラグシップのHD 800をシングルエンド接続で聴いてみると、解像感と密度感、ともに見事なマッチングで、低域の制動力も高く素直でS/Nに優れた落ち着きあるサウンドが得られた。オーケストラでは楽器のディテールを的確に描き出しつつ、瑞々しい余韻を聴かせてくれる。空間性も豊かで、各パートの定位感も明確。純度、鮮度とも高く、品性の良い旋律はスマートに際立ち、すっきりとした爽やかなハーモニーが音場に満ちてゆく。ポップスのリズム隊だけでなく、ギターやホーンセクションも鮮明な輪郭を持ちながらも密度のある厚みを持っている。ハリ艶良いボーカルは口元をウェットに描きつつ、他のパートとはしっかりと分離。アタック感も素直で耳当たりも滑らかだ。

HD 800とHDVD 800

HD 800

クリアで見通し良いサウンドは十分完成度が高いものだが、こちらもケーブルをCH 800 Sに繋ぎ換え、バランス接続で試聴を実施。こちらも音の佇まいが一変し、極めてリアルで、音の立ち上がりから立下りまで非常にスピーディーなナチュラルサウンドを味わえた。音像も立体的でボーカルは肉付き良く自然。艶も程よく加わり、ディテールは滑らかだ。オーケストラの音場は奥行き深く、音の広がり方や残響の浮き上がりも極めてナチュラル。抑揚豊かな旋律はハリ艶バランス良く、付帯感のない澄んだ余韻を耳元に届けてくれる。

S/N、解像感、鮮度感、いずれもシングルエンド接続とは別世界で、瑞々しいハーモニーも音の消える瞬間までリアルにトレース。ポップスやロックのリズム隊もダンピング良くスムーズなタッチで描かれ、ギターやホーンセクションをクリアに粒立ち良く浮き上がらせる。音場の前後感も見通せるほど純度の高い定位を見せ、HD 800の持つポテンシャルの高さを改めて実感するに至った。一度でもバランス駆動のサウンドを体感してしまうとシングルエンド接続には戻れないほど、その音質の差は大きい。

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