バランス出力の効果は絶大。純正ケーブルも登場
ゼンハイザー初のヘッドホンアンプ「HDVD 800」「HDVA 600」徹底レビュー
■USB-DACをすでに持っているなら「HDVA 600」もおすすめ
最後にHDVA 600とHD 800、CH 800 Sの組み合わせを用い、USB-DACとしてLUXMAN「DA-06」とアナログ・バランスXLR接続した状態での試聴も実施した。
HDVD 800と同じDACチップを持つとはいえ、上位クラスであるDA-06のリッチなアナログ構成の実力もあり、非常にゆったりとした落ち着きのある高S/Nなサウンドとなる。PCM音源はアタックの素早い、音像を押し出すパワー感に満ちたサウンド傾向となるが、DSD音源ではそのアナログライクな高密度で滑らかなテイストの音像を分離良く描き出し、余韻も階調細やかに表現。フォーマットごとの差も明確に描き分ける、アンプとしてのポテンシャルの高さも持ち合わせているが、ヘッドホンという閉鎖された音響環境であるにもかかわらず、DSDの持つ有機的でシームレスな音場の空間性も見事に再現できている。
すでにネットオーディオ環境を導入し、お気に入りのUSB-DACなりネットワークプレーヤーを所有しているというユーザーにとって、このHDVA 600はすでに持っているゼンハイザーヘッドホンのラインナップを最大限に生かし切る魅力を秘めたヘッドホンアンプといえるだろう。
HDVD 800、HDVA 600ともヘッドホンの推奨インピーダンスは16〜600Ωまで見据えた設計となっているようなので、ゼンハイザー同士の組み合わせはもちろん、様々なブランドのヘッドホンをしっかりと鳴らし切るドライブ能力を持ったハイスペックモデルだ。まずはゼンハイザー純正の組み合わせで楽しめる、唯一無二のバランス駆動サウンドを堪能いただきたい。
■試聴ソース
【クラシック】
・レヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『惑星』〜木星(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
・イ・ソリスティ・ディ・ペルージャ『ヴィヴァルディ:四季』〜春(HQM:192kHz/24bit)
・飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜第一楽章(e-onkyo:96kHz/24bit)
【ポップス】
・シカゴ『17』〜ワンス・イン・ア・ライフタイム(HD Tracks:192kHz/24bit)
・カーペンターズ『シングルス1969-1981』〜トップ・オブ・ザ・ワールド(HD Tracks:96kHz/24bit)
【ロック】
・デイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
【DSD】※「ラックスマンDA-06」から「HDVA 600」へXLRアナログ入力して試聴
・Suara『DSDライブセッション』〜桜(OTOTOY:2.8MHz・DSD)
・長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』〜レディ・マドンナ(筆者自身による2.8MHz・DSD録音)
・『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜届かない恋、夢であるように(192kHz/24bit・WAV&2.8MHz・DSDマスターデータ)
(岩井喬)