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PHLIPS“Fidelio”シリーズのフラグシップ・ヘッドホンを試聴テスト

Fidelio「X1」とポップス&ロックの相性はいかに? − 野村ケンジが各コンテンツで検証した

公開日 2014/01/30 11:00 野村ケンジ
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さらにフィリップスが、“ゴールデンイヤー”(関連記事)によるサウンドテスト制度を導入している点にも注目だ。これは、全世界に57人しかいない、厳しい音響テストをパスしたエンジニアたちが、発売前の製品の音質を徹底的にチェックするというもので、「Fidelio」シリーズすべての製品で行われている。

「X1」についても同様なのだが、フラッグシップモデルということもあるのだろう、本機については開発初期から最終審査まで、すべての段階で徹底したサウンドチェックを行っているのだという。こういった体制からも、「X1」のサウンドに対する並々ならぬこだわりが垣間見られる。

実際の製品を手にしてみよう。最近ではアラウンドイヤー型といえどコンパクトなサイズのヘッドホンが増えてきたので、それに比べると「X1」は堂々とした、かなり大柄なボディという印象だ。とはいえ、シックなカラーコーディネートによって無意味にサイズを主張しないし、軽快な装着感を持ち合わせている。室内での使用を前提にすれば、何一つ不具合は感じないだろう。

デザイン的にも細部までの作り込みが為されており、所有欲も満足させてくれる

また、着脱式のケーブルは、断線防止のためケブラー素材を採用しており、タッチノイズも軽減されている。端子が一般的なステレオミニ端子となっているため(ちなみに「L1」は短いケーブルでプラグが出ておりステレオミニ延長ケーブルを接続する特殊なタイプとなっている)、好みに応じたケーブルの交換もできる。こうした自由度の高さは、ありがたい限りだ。

ケーブルは着脱式で、ヘッドホン側はステレオミニ端子を採用している

着脱可能な本機のケーブル。ケーブルの長さを調節できるクリップが付いている

■オールマイティーなサウンド、そして解像感に驚かされる

さて、肝心のサウンドをしっかり確認すべく、様々なジャンルの音楽を聴いてみた。結論から言うと、基本的にはどんなジャンルの音楽にも対応できるオールマイティーなサウンドキャラクターなのだが、とにかく音数の多さ、解像感の高さがスゴイのだ。

ハイエンドポータブルプレーヤーであるAstell&Kern「AK120」に、さらにポータブルアンプを組み合わせて「X1」を試聴しているところ

オペラなどを聴くと、艶やかでのびのびとした弦の音に、強烈な存在感を持つ歌声が力強く響いてくる。特に張り上げた声の張りといったら、思わず鳥肌が立ってしまうほど。それでいて、声の表情も多彩で、抑揚もきめ細やか、かつダイナミック。おかげで、歌に込めた感情がしっかりと伝わってくる。

一方で、筆者がFidelioのヘッドホンの本領発揮と考えているのが、ロック系の音源だ。特に往年のロックのハイレゾ音源とは相性が抜群だった。たとえばイエスの『Fragile』に収録されている名曲「Roundabout」(96kHz/24bit)を聴くと、冒頭のギターは音色の抜けが良く、響きも素晴らしい。加えて、ピッキングの力強さまで感じられるリアリティを持ち合わせている。さらに、ドラム&ベースの演奏が入ってくると、思わず体を揺らしてしまいそうな、グルーヴ感溢れるサウンドが堪能できる。

YES『Fragile』

オールマイティーとは言ったものの、ハードロック系、特に名盤のハイレゾ音源などは、とても相性が良いと感じた。

次ページ解像感と表現力の高さがハイレゾの本質を引き出す

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