<山本敦のAV進化論>第2回
ハイレゾをワイヤレス伝送「WiSA」は「有線よりも高音質」? − 詳細をキーマンに訊く
WiSA対応機器の電源を投入すると、プレーヤーなどに組み込まれたトランスミッターが、受信機であるスピーカーのID情報を読み取り、チャンネル設定や音場補正、ボリュームコントロールの自動設定を行う。メーカーが異なる製品が混在していても、WiSAの認証を受けた製品のみで構成されているシステムであれば、簡単に音場が最適化できる。
現在は最大8チャンネルの信号、11台のスピーカーまでのマルチチャンネル環境が構築できるWiSAの技術だが、「7つのサラウンドスピーカーに4つのサブウーファー」というレイアウトから、極端な例では「11チャンネルぜんぶサブウーファー」というスピーカー構成も可能だ。
システムの拡張性も担保されている。フロントL/Rとセンターの3チャンネルを搭載するバータイプのスピーカーからスタートして、後からスピーカーを付け足してディスクリートの5.1chシステムを構築した際に、3chバースピーカーをシングルチャンネルのセンタースピーカーとしてコンフィグし直して使うこともできる。
WiSAが従来から特徴とする「My Zone」機能は、ハードウェアリモコンに超音波の発信器を搭載し、ユーザーがコンテンツを鑑賞したい位置で「My Zone」ボタンを押すと、瞬時に音圧レベルやディレイなどの設定をリスニングポジションに合わせて自動調節してくれる。現在はスマートフォン対応が完了しており、「MyZone」アプリを使って、ユーザーがGUIを見ながら自動でスイートスポット設定が行えるようになっている。
以上のような特長を備えるWiSAだが、現在取り組んでいる技術革新と、これから目指す発展の方向性について、もう少しくわしく話を聞いた。
■マルチルーム配信やスピーカー数の拡張も視野に
WiSAの導入については、現在のところスピーカーメーカーが非常に積極的という感触を鎌田氏は受けているという。「スピーカー本体にパワーアンプとWiSAの受信機を内蔵するだけで組み込める点を魅力と感じていただいているようだ。WiSA技術によるワイヤレス対応となれば手軽に付加価値を付けることもできる。スピーカーの老舗ブランドから新進気鋭のメーカーまで、幅広くラブコールをいただいている」(鎌田氏)