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<山本敦のAV進化論>第2回

ハイレゾをワイヤレス伝送「WiSA」は「有線よりも高音質」? − 詳細をキーマンに訊く

公開日 2014/04/02 14:22 山本 敦
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「WiSA(Wireless Speaker and Audio)」は、ホームエンターテインメント向けを中心としたセミコンチップとワイヤレスシステムの開発を行う、米サミットセミコンダクター社が開発したオーディオ技術だ。5GHz/UNIIバンドの無線帯域を使って最大96kHz/24bit、8チャンネルまでのオーディオ信号を、11台までのスピーカーに非圧縮のまま高品位にワイヤレス伝送ができる。

WiSAのロゴ

WiSAの技術的な長所はどんなところにあるのか、サミット・セミコンダクター(株)代表取締役社長(米国サミット社副社長)の鎌田純一氏、同社シニア テクニカル ディレクターのブライアン・ウィリス氏を訪ねて詳しい話を伺った。

サミット・セミコンダクターの鎌田純一氏とブライアン・ウィリス氏


■ハイエンドオーディオ&ホームシアターから広がりはじめた「WiSA」

日本国内で"WiSA(ワイサ)”の名前はまだ馴染みがないかもしれないが、米国ではワイヤレススピーカーなど対応製品が増えつつある。今年のCESではシャープが3,999ドル(約40万円)のハイエンド・ユニバーサルBDプレーヤー「SD-WH1000U」を発表(関連ニュース)。本体にWiSAの送信機を組み込んだハイレゾオーディオ対応の高級プレーヤーとして注目を浴びた。北米では3月から販売がスタートしたようだ。約40万円のユニバーサルBDプレーヤーといえば、ホームシアターの盛んなアメリカでも高級機の部類に属するが、ホームシアターファンにどう受け入れられるか気になるところだ。

SD-WH1000U

ちなみに日本国内でWiSAを利用できる製品には、Bang&Oulfsen「BeoLab 18」をはじめ3機種のワイヤレス・スピーカーがある。フロアスタンドタイプの「BeoLab 18」はペアで約146万円と価格もなかなかのもの。コンセプトショップで体験展示が行われている。

WiSAの技術が生まれた背景には、アメリカのホームシアターで「高音質&便利なワイヤレスシステム」を求める声が高まってきたため、と鎌田氏は説明する。CEA(全米家電協会)が実施した調査によれば、アメリカではいま「ワイヤレスオーディオ」が大型テレビに継いで人気を獲得しているコンシューマー・エレクトロニクス製品なのだという。高音質で使い勝手が良く、他の機器とのコネクティビティが高い製品であれば正当な付加価値となる。熱心なホームシアターファンの期待に、高音質と簡単セットアップを売りにしたWiSA対応製品がぴたりとフィットしたというわけだ。


■「有線よりも高音質」な無線オーディオ技術

WiSAの大きな特長のひとつが、最大96kHz/24bitのロスレス・オーディオ信号のワイヤレス伝送に対応していることだ。もともとホームシアターでのマルチチャンネル再生にフォーカスして開発された技術であることから、最大8ch/11台のスピーカーによるサラウンド再生に対応することができる。

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