最新モデル VS 銘機の新旧対決を高橋敦がジャッジ
フィリップスの最新ヘッドホン“Fidelio”「L2」は、従来機「L1」からどう進化したのか?
「L2」はこうした「L1」の優れたデザイン性を基本的には継承しながら、さらなるリファインが施されている。まず目に入るのが、その色使いだ。先代はブラックを基調にアルミの部分はその質感と色合いを生かしたツートーンで、まさに“シック”であった。
対して「L2」は、全体をダークなガンメタルにした上で、ヘッドバンドにオレンジのステッチ(縫い目)を施している。さらにはハウジング部のネジやマイク付きリモコンなどの細部にもオレンジでアクセントを入れている。従来のシックさに加えて、アーバンで、かつ少しだけカジュアルな印象を加えている。
■ケーブルの取り回しを変更。大幅な軽量化も実現
ハウジングからヘッドバンドへのケーブルの取り回しが変更された点にも注目したい。先代はケーブルが外部に出ていたが、本機は内蔵してすっきりとさせた。本体とプレーヤーをつなぐケーブルについては、先代「L1」ではハウジングにショートケーブル直付けされており、その先を交換することで通常ケーブルとリモコンケーブルを交換する仕様となっていた。対して「L2」は、ハウジングに端子を内蔵したより一般的な仕様となった。
装着感にも言及したいのだが、装着感の以前に気付くのが大幅な軽量化だ。持ち比べた瞬間に「軽い!」と感じた。ここまでの軽量化は音を犠牲にしていないのかと不安にもなったものの、後述する通りそれは杞憂だった。先代「L1」が364gなのに対し、本機は260g。100g近い軽量化を果たしたわけだが、「L2」が本格的なオーバーヘッド型ヘッドホンとして突出して軽いわけではない。
しかし、その装着感は、そもそも「L1」の時点から良好であった。形状記憶フォーム素材を革系の素材で包んだイヤーパッドは、柔らかくフィットして肌触りもよい。頭を挟み込む側圧も強すぎず弱すぎず、固定力と快適性を両立。「L2」ではそこに軽さが加わり、装着感はさらに良好だ。フィリップスは生活家電メーカーでもあり、「快適さ」についてのデータやノウハウを豊富に有しているのだという。各部の角度設定にも人体工学的な視点を取り入れるなど、こうした経験を活かしたFidelioならではの快適さがあるのだ。
■従来モデルの魅力を引き継ぎながら空間表現や抜けの良さを高めた「L2」
それでは、サウンドはどのように変わったのだろうか。音の印象を述べていこう。フィリップスが「Best in sound」と呼ぶ基本的な音作りは、先代「L1」でも今回の「L2」でもブレることはない。モニター系な徹底フラットバランスではなく、低音をほどよくプッシュし、ウォームで優しい音色感も備えている。しかし低音のプッシュが節度をわきまえており、ウォームといっても不明瞭とは無縁の暖かみを備えている。「正統派の高音質にして好音質」なのだ。
それを踏まえた上で、本機は先代と比べ低音が少しすっきりして、ウォームさとシャープさのバランスも、ややシャープ側に寄せられている。またインピーダンスが下げられたおかげか(26Ω→16Ω)、再生機器側が同じ音量設定でも、本機の方が大きな音量を得られる。
次のページでは、実際に様々なソースを試聴しながら、両モデルの音質のちがいを具体的に探ってみよう。
対して「L2」は、全体をダークなガンメタルにした上で、ヘッドバンドにオレンジのステッチ(縫い目)を施している。さらにはハウジング部のネジやマイク付きリモコンなどの細部にもオレンジでアクセントを入れている。従来のシックさに加えて、アーバンで、かつ少しだけカジュアルな印象を加えている。
■ケーブルの取り回しを変更。大幅な軽量化も実現
ハウジングからヘッドバンドへのケーブルの取り回しが変更された点にも注目したい。先代はケーブルが外部に出ていたが、本機は内蔵してすっきりとさせた。本体とプレーヤーをつなぐケーブルについては、先代「L1」ではハウジングにショートケーブル直付けされており、その先を交換することで通常ケーブルとリモコンケーブルを交換する仕様となっていた。対して「L2」は、ハウジングに端子を内蔵したより一般的な仕様となった。
装着感にも言及したいのだが、装着感の以前に気付くのが大幅な軽量化だ。持ち比べた瞬間に「軽い!」と感じた。ここまでの軽量化は音を犠牲にしていないのかと不安にもなったものの、後述する通りそれは杞憂だった。先代「L1」が364gなのに対し、本機は260g。100g近い軽量化を果たしたわけだが、「L2」が本格的なオーバーヘッド型ヘッドホンとして突出して軽いわけではない。
しかし、その装着感は、そもそも「L1」の時点から良好であった。形状記憶フォーム素材を革系の素材で包んだイヤーパッドは、柔らかくフィットして肌触りもよい。頭を挟み込む側圧も強すぎず弱すぎず、固定力と快適性を両立。「L2」ではそこに軽さが加わり、装着感はさらに良好だ。フィリップスは生活家電メーカーでもあり、「快適さ」についてのデータやノウハウを豊富に有しているのだという。各部の角度設定にも人体工学的な視点を取り入れるなど、こうした経験を活かしたFidelioならではの快適さがあるのだ。
■従来モデルの魅力を引き継ぎながら空間表現や抜けの良さを高めた「L2」
それでは、サウンドはどのように変わったのだろうか。音の印象を述べていこう。フィリップスが「Best in sound」と呼ぶ基本的な音作りは、先代「L1」でも今回の「L2」でもブレることはない。モニター系な徹底フラットバランスではなく、低音をほどよくプッシュし、ウォームで優しい音色感も備えている。しかし低音のプッシュが節度をわきまえており、ウォームといっても不明瞭とは無縁の暖かみを備えている。「正統派の高音質にして好音質」なのだ。
それを踏まえた上で、本機は先代と比べ低音が少しすっきりして、ウォームさとシャープさのバランスも、ややシャープ側に寄せられている。またインピーダンスが下げられたおかげか(26Ω→16Ω)、再生機器側が同じ音量設定でも、本機の方が大きな音量を得られる。
次のページでは、実際に様々なソースを試聴しながら、両モデルの音質のちがいを具体的に探ってみよう。