最新モデル VS 銘機の新旧対決を高橋敦がジャッジ
フィリップスの最新ヘッドホン“Fidelio”「L2」は、従来機「L1」からどう進化したのか?
Fidelioシリーズ最新のセミオープン型ヘッドホン「L2」は、先代モデルである「L1」から、サウンドの点でどのような進化を遂げたのか。実際に各音源を試聴して確認してみた。
上原ひろみのピアノ・トリオの新作『ALIVE』の表題曲では、コントラバス・ギター(多弦ベース)に注目。本作からはボディの厚みが増した新モデルが使用され、よりアコースティックな音色が特徴だ。「L1」で聴くとその広がりや空気感が強調される。一方で「L2」ではややソリッドになり、まとまりがよい。低音の量感は「L1」よりは控えめと言えるが、いわゆるモニターに徹した音とは一線を画していると言える。
それ以上に大きな違いを感じたのは、ドラムスのアタック感や抜けだ。「スパンッ」と速く「タンッ」と硬質なのである。このドラムのサウンドを筆頭に、全体のスピード感もかなりアップしている。前述の音量と同様に、「L2」が従来機「L1」よりも駆動しやすいチューニングになっているおかげかもしれない。
続いては相対性理論『TOWN AGE』から数曲。こちらは現代的でいてレトロ感覚も兼ね備えるポップスだ。『ALIVE』でも感じていたのだが、こちらの音源でさらに確認すると、「L2」は音場の余白の確保や音の自然な広がりといった点で、「L1」に対して優位性を持つ。例えば、音が密集せずボーカルの周りがすっきりして、その立ち姿が見えやすい。ギターのディレイ音も、クリアで空間性が際立つ。
この余白や広がり、そして前述の抜けの良さ。本機はセミオープン型におけるクローズド型とオープン型のバランスを、オープン型の方に寄せてきたように感じる。アコースティックグリルの大口径化はその手段なのかもしれない。肝心の女性ボーカルは、先代の柔らかさに対して本機はシャープな成分も活かしている。歌の優しさよりも切なさの方が強く届いてくる印象だ。
本機「L2」は、先代「L1」から音作りの基本思想は踏襲しつつ、新たなチューニングが施されているようだ。おかげで「L1」の個性も際立つので、これまでの「L1」ユーザーも嬉しいのではないだろうか。そして「L1」を気に入っているユーザーなら、それと違和感なく、しかし使い分けられるモデルとして、「L2」“も”欲しくなるかもしれない。もちろん、他の多くのヘッドホンファンにとっても、魅力的な存在となるだろう。
上原ひろみのピアノ・トリオの新作『ALIVE』の表題曲では、コントラバス・ギター(多弦ベース)に注目。本作からはボディの厚みが増した新モデルが使用され、よりアコースティックな音色が特徴だ。「L1」で聴くとその広がりや空気感が強調される。一方で「L2」ではややソリッドになり、まとまりがよい。低音の量感は「L1」よりは控えめと言えるが、いわゆるモニターに徹した音とは一線を画していると言える。
それ以上に大きな違いを感じたのは、ドラムスのアタック感や抜けだ。「スパンッ」と速く「タンッ」と硬質なのである。このドラムのサウンドを筆頭に、全体のスピード感もかなりアップしている。前述の音量と同様に、「L2」が従来機「L1」よりも駆動しやすいチューニングになっているおかげかもしれない。
続いては相対性理論『TOWN AGE』から数曲。こちらは現代的でいてレトロ感覚も兼ね備えるポップスだ。『ALIVE』でも感じていたのだが、こちらの音源でさらに確認すると、「L2」は音場の余白の確保や音の自然な広がりといった点で、「L1」に対して優位性を持つ。例えば、音が密集せずボーカルの周りがすっきりして、その立ち姿が見えやすい。ギターのディレイ音も、クリアで空間性が際立つ。
この余白や広がり、そして前述の抜けの良さ。本機はセミオープン型におけるクローズド型とオープン型のバランスを、オープン型の方に寄せてきたように感じる。アコースティックグリルの大口径化はその手段なのかもしれない。肝心の女性ボーカルは、先代の柔らかさに対して本機はシャープな成分も活かしている。歌の優しさよりも切なさの方が強く届いてくる印象だ。
本機「L2」は、先代「L1」から音作りの基本思想は踏襲しつつ、新たなチューニングが施されているようだ。おかげで「L1」の個性も際立つので、これまでの「L1」ユーザーも嬉しいのではないだろうか。そして「L1」を気に入っているユーザーなら、それと違和感なく、しかし使い分けられるモデルとして、「L2」“も”欲しくなるかもしれない。もちろん、他の多くのヘッドホンファンにとっても、魅力的な存在となるだろう。