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hibino/iBassoから登場、USB-DAC内蔵ヘッドホンアンプ「MICRO PRECISION DH1」実力チェック

公開日 2014/06/24 11:45 高橋敦
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カッチリしたサウンドが持ち味だがDSDの柔らかさも引き出す

「MICRO PRECISION DH1」のサウンドだが、やや硬質でカッチリとした描写が持ち味だ。低音側の厚みや重みは適当には確保するが、無理に稼いではおらず、リズムをもたつかせない。

上原ひろみさんのピアノトリオ「ALIVE」では、細かなリズムを刻むハイハットシンバルがまさにカッチリ。その明確さで重層的なリズムの構築美を際立たせる。シンバルの音色はシャープさも印象的で、実に切れがよい。このあたりはK812の特質でもあるが、それを引き出す実力を本機は備えている。

ベースやドラムスといった低音リズム楽器の厚み重み、ぐいぐいのドライブ感は、ナチュラルさが持ち味だ。「無理しているけれど足りていない」「無理してるから逆に飽和している」という感がなく、「無理せずやれる範囲のことをちゃんとやってます」といった堅実な低音描写だ。

ポップユニット相対性理論はアルバム「TOWN AGE」から数曲を試聴した。こちらではエレクトリックギターの硬質なクリアさが実に好印象だ。ぱきっとして艶やかな音色に続くディレイ(エコー)成分もいわゆるクリスタルな音色で、それが空間に散らばる様子が見事。複数の弦がほどよく分離し、コードの解像感も高い。

本機を使えば省スペースかつ高音質なデスクトップオーディオスタイルが実現する

強いて言えば、この作品の特徴であるウェットな感触、湿度感の表現は、もともとの音調が硬質でシャープな傾向といった要因からか、もう少し改善の余地がある。残念と言えるのはその点くらいであろうか。

女性ボーカルはやくしまるえつこの他、坂本真綾と宇多田ヒカルで確認した。彼女たちの声の描写もやはり硬質、シャープな傾向ではあるが、耳障りな嫌な硬さや鋭さはない。例えば宇多田ヒカルの声は、包み込むような優しさよりも「ニガくて切ない感じ」の方が強まるが、個人的にはこちら傾向の表現も悪くないと思える。

最後にHoff Ensemble「Quiet Winter Night」でDSD 5.6MHzをチェック。なおMacのAudirvana Plusでは、PCM→DSDの切り替え時には非常に微小なノイズ、DSD→PCMの切り替え時には微小なノイズが発生したが、いずれにせよ微小だ。

同じ曲をPCM 192kHzと聴き比べると、重心が気持ちばかり下がり、全体に滑らかさを増す。印象的だったのは曲の冒頭の衣擦れ等の演奏ノイズ。PCMではノイズのように聞こえがちだが、DSDだとほどよく和らいだ気配感として届いてくる。個人的にはこの録音はDSDで聴きたい。



というわけで、今回聴いたhibino/iBasso「MICRO PRECISION DH1」は個人的に待望の製品であったが、その期待に十分に応えてくれた。「ハイレゾ対応でDSDも対応し、小さくて邪魔にならないUSB-DAC/ヘッドホンアンプがほしい。2万円までなら出す!」という方に向けて、強くオススメしたい。

(高橋敦)

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