HOME > レビュー > 【第90回】「リケーブル」徹底解説! 基礎知識から選び方、聴き比べまで濃密レポート

[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第90回】「リケーブル」徹底解説! 基礎知識から選び方、聴き比べまで濃密レポート

公開日 2014/06/30 12:53 高橋敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

▼OFC(無酸素銅)

ベーシックな素材であり様々な製品のスペックでよく見かけるのが「OFC=Oxygen-Free Copper=無酸素銅」だ。銅に含まれる酸化物を可能な限り除去して純度を高めている。

その純度は例えば「6N」銅なら純度「99.99995」%のように、N(Nine=9)の数で表記される。もちろんNの数が多いより高純度な無酸素銅の方が一般的には好ましいが、これまたもちろんそちらのほうがお値段はお高くなる。標準的な素材であるので音質的には癖は少なく、クオリティの高い製品であればおおよその要素をバランスよく高められると期待できる。

▼PCOCCとPC-Triple C

さらに独自の手法で純度を高めた同素材もある。その代表と言えば「PCOCC」だ。こちらは詳しくは本連載の過去の記事を参照していただければと思う。

・PCOCC製造中止でこれからどうなる? ケーブルメーカー3社に突撃取材!
http://www.phileweb.com/review/article/201303/29/776.html

要点を抜き出すと「PCOCC-A=Pure Cupper Ohno Continuous Casting=単結晶状高純度無酸素銅」とは、特殊な製法によって結晶構造を単一化された単結晶銅だ。普通の銅は結晶の集まりでできているところ、この素材は結晶が一体化されている。「結晶と結晶の隙間」がないので、そこに不純物が入り込まない。よってより高い純度を実現できているという素材だ。その特性はもちろんオーディオ向きであり、採用例は多い。

音質面においては、こちらも銅は銅であるので一般的な高純度銅からのグレードアップでも違和感は少なく、バランスの良い向上を得られる。その上で個人的な印象としては、高域の滑らかさや中低域の厚みといった特徴を感じられる製品が多いと感じる。たしかによい導体素材だ。

…のだが、上述の記事のように残念なことにその素材の生産販売は終了してしまっており、各ケーブルメーカーが確保しておいた在庫で各製品を生産販売している状態。遠からず枯渇する…

後ほどさらに紹介するが、PCOCC採用製品の代表は例えばSAEC SHC-100FS

ということでその後を継ぐものとして期待されているのが、

・PCOCCを超える? 注目の新銅素材「PC-Triple C」開発者インタビュー
http://www.phileweb.com/interview/article/201401/23/217.html

…だ。この銅素材「PC-Triple C=Pure Copper-Continuous Crystal Constructions=連結結晶高純度無酸素銅」は、PCOCCの開発にも携わっていた方々によって開発された。異物の少ないOFCをベースに「定角連続移送鍛造法」、つまり素材を丁寧に叩きまくることで結晶同士をつなげて連続化。その結晶構造によって伝送特性を向上させたものだ。実際に採用した製品も今年中には販売開始されそうな気配なので注目しておいてほしい。

次ページ続いて高純度銀について − その他、チェックすべき導体のポイント

前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE