[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第90回】「リケーブル」徹底解説! 基礎知識から選び方、聴き比べまで濃密レポート
■製品選びのポイント:バランス接続・駆動
ポイント解説の最後は「バランス接続・バランス駆動」だ。バランス接続・バランス駆動の基本については、
・“破格”のバランス駆動ポタアン、ラトック「REX-KEB01F」− ケーブル改造も実践!
http://www.phileweb.com/review/article/201306/07/827.html
の記事の1ページ目の下半分からを参照してほしいが、ここではざっくりと「音質面での利点は大きいがそれ専用の特殊なケーブルが必要な接続&駆動方法」なことに注目してほしい。…専用の特殊なケーブル?まさにリケーブルの出番!
さらにざっくりと続けると、「リケーブル可能でその端子の接点が左右それぞれに2接点(左右合わせて4接点)であるイヤホンまたはヘッドホンは、バランス接続対応のリケーブル製品を利用することでバランス駆動対応に強化できる!」というわけだ。
さてしかし、バランス接続バランス駆動用のケーブル選びには、またもあの問題が立ちふさがってくる。「端子の種類」だ。イヤホン&ヘッドホン用のバランス接続の端子もこれまた標準規格が存在せず、バランス駆動対応のヘッドホンアンプやポータブルプレーヤーのそれぞれごとに端子の種類が異なる。それに合わせた適切な選択がここでも必要だ。ということで代表的な種類を説明しておこう。
▼XLR端子(据え置きヘッドホンアンプ)
据え置きのヘッドホンアンプではXLR端子の採用例が多い。ゼンハイザー純正のHDVDシリーズ、ラックスマンのP-700u、新製品ではOPPOのHA-1(上の写真)、パイオニアのU-05等だ。ただしXLRと一口に言っても、4ピン(4極4接点)1基の場合と3ピン(3極3接点)を2基使う場合があり、4ピンでもピン配列が違う場合もある等、実はXLRの中でも一本化はされていない。十分な注意が必要!
▼マイクロ4ピン(ポータブルアンプ)
バランス駆動に早くから積極的なALO Audioのポータブルアンプに採用されている端子。同社からの他、Beat Audio等からもこの端子のケーブルが販売されている。
▼2.5mm4極(AK240/120II/100II)
Astell&KernのハイレゾポータブルプレーヤーAKシリーズの第二世代機が採用している端子。通常の3.5mm端子と並んで配置されているので、それとの挿し間違えがないようにサイズの異なる端子を採用したとかいう話をどこかで聞いたような。
いずれにせよAKシリーズの人気の高さのおかげか、対応リケーブル製品はなかなかに豊富だ。
▼3.5mm4極(HiFIMAN)
こちらもポータブルプレーヤーの雄、HiFiMANが採用している端子。
ちなみに2.5mmとか3.5mmのプラグというのは棒状の端子部分を何カ所かに絶縁体を挟むことで分割していて、分割されたその部分ごとをひとつの極(接点)とすることで多極化されている。
例えば普通のステレオのプラグを見てほしい。先端部とその次の部分、そして根元部分に分かれているはずだ。その各部分をそれぞれチップ、リング、スリーブと呼び、順に左の音声信号、右の音声信号、グランド信号が流されている。これは3極。バランス接続の場合はプラグの分割をひとつ増やして4極として、その増えた分でグランド信号の左右を分割している。
次ページ最後に、イヤホンリケーブル製品4モデルを聴き比べてみよう