OPPOの平面駆動ヘッドホン「PM-1」レビュー。バランス駆動やアンプ組み合わせなど徹底検証

■平面振動板の自然な聴感特性やリニアリティにも配慮

PM-1の磁気回路は、出力音圧レベルの最大化と駆動エリアにかかる力を一定に保つよう、有限要素法によって最適な磁力配分となるよう設計されているという。そのため平面振動板は均等に駆動され、全面が同相で振動することができる。その結果、ピストン・モーションが安定し、共振モードの挙動を抑え込むことでダンピング特性も十分に担保。全帯域に渡って位相特性も整い、低歪で分解能や透明感、スピード感を兼ね備える万能なサウンド性を獲得した。さらに平面駆動型としては能率も高く、インピーダンスも32Ωというプレーヤー側に負担をかけない設計となっている点も優位なポイントだ。

また平面型導体パターンを用いているため、インダクタンス起因による混変調歪みも抑制。さらに振動板には両面にコイルパターンを設けているため、磁界内には倍の導体が配置されることになる。これによって高い入力感度や安定した制動力を実現するなど、PM-1の平面駆動ユニットは自然な聴感特性とともにリニアリティの高さについても申し分ない性能を持つ思想的なトランスデューサーとして仕上げられているのだ。

■平面駆動方式ながらコンパクトでスタイリッシュなデザイン

そしてもう一つ、PM-1を特徴的な平面駆動型ヘッドホンとして印象付けているのが、耳覆いタイプにも関わらず、コンパクトかつスタイリッシュなデザインでまとめられていることだ。他社の平面駆動型ヘッドホンはかなり重く、大柄なものが中心で、使う人を選ぶようなところもあった。しかしPM-1は通常のオープンタイプのダイナミック型ヘッドホン並みのサイズ感を実現しており、非常に取り回しが良い。

各部材にはとことんこだわり、質感や装いからも高級感が伝わるつくりとしている点もまた見逃せない。フレームにはアルミを用いるほか、ヘッドバンドやイヤーパッドには子羊のリアルレザーを取り入れ、クッション材にも適度な低反発性と水分にも強い天然ラテックスを採用。肌触りの良い快適な装着性を実現した。さらにイヤーパッドには音を適度に通過させる穴開け加工も施し、エクステリアが音に与える影響も十分考慮した設計を貫き通している。

■着脱式ケーブルは2タイプを同梱。万全な製造体制にも好感

ケーブルは布スリーブで覆われた両出し・着脱式仕様だ。6.3mm標準TRSプラグタイプ（OCC導体）とポータブル機器で活用できる3.5mmステレオミニプラグタイプ（OFC導体）の2種類が同梱される。オプション品として4pin・XLRプラグを取り付けたバランス駆動用ケーブルも用意されていることも注目点だ。特性の光沢塗装仕上げの豪華な木製ケースやベロア素材の交換用イヤーパッドも付属品されており、所有欲をくすぐられる仕様となっている。

このようにいくつものこだわりを持って製造されたPM-1は最新の設備を持つ音響試験室で1台ずつ測定し出荷されるそうで、左右の特性が揃っているかどうか、各イヤーカップを厳密にチェックしているとのこと。万全の態勢で製造されるプレミアムモデルとしていま最も注目される平面駆動型ヘッドホンといえるだろう。