<山本敦のAV進化論>第18回
アプリ不足も一気に解消! 「Chromecast」のミラーリング機能を試す
YouTubeやdビデオなど、Chromecastにネイティブ対応しているアプリでは動画のストリーミングが始まった後は、手元のタブレット側は各種操作用のコントローラーに切り替わるため、同じ動画が両方のディスプレイに表示されることがない点が異なる。
なおVOD系アプリでは、Huluが画面のキャストを使ってもミラーリングができなかった。コンテンツの選択画面までは何事もなく表示されるのだが、いざ動画の再生を始めると、ファイル読み込みのステータスのまま先に進まなくなってしまった。
いくつか試したゲームアプリもミラーリングに対応していた。こちらもタブレットとテレビの両方に同じ映像が表示される。いざゲームをやってみると、タブレットの画面から目を離し、テレビの画面だけを見ながら正確に操作するのは正直しんどい。ゲームのミラーリングは、自分がテレビ画面をプレイするというよりも、自分のプレイを友人にも見せる、などといった使い方が主になるだろうか。ゲーム画面をテレビにキャストしながら、タブレットにコントローラーを表示して簡易なレトロゲームが楽しめる「GamingCast (for Chromecast)」という有償アプリがあるのだが、このようなChromecastにネイティブ対応するゲームアプリが増えることを期待したい。
Skypeによるビデオ通話も、大画面に相手側の映像が映せるので最初は快適になるだろうと思ったら、自分側の映像を映すためのカメラとマイクが必要になるので、タブレットが手放せない。こちらも画面をキャストして使うにはやや不向きなアプリだ。
一方で、本体で撮影した写真は「ギャラリー」アプリで手軽に再生ができるようになるので使い勝手が良い。ChromeブラウザによるWeb検索もページをテレビに大きく表示しながら、タブレットの音声検索機能を活用すればスマートTV感覚が味わえて気持ちが良い。Googleマップのストリートビューで海外の街を大画面テレビに映せばちょっとした旅気分だ。
■ミラーリング機能でChromecastの魅力は大きく膨らんだ
Androidスマートフォンの場合、MHLに対応している製品なら、ケーブルでかんたんに画面をミラーリングできるが、ワイヤレスでのミラーリングを一度体験してしまうと、有線接続が煩わしく感じられてしまう。人気の端末であるNEXUS 7はそもそもMHLに対応しておらず、SlimPortという、MHLによく似た別のインターフェース規格に対応する変換機器を使うことになるが、こちらも有線接続だ。iOSの場合はAppleTVを用意してAirPlayミラーリングを使えば、基本的にChromecastの画面のキャストと同様の使い方ができるものの、設置性の面では、本体の大きさやUSB給電対応の点でChromecastに軍配が上がる。
「画面のキャスト」機能が追加されたことでChromecastの魅力は間違いなく大きく膨らんだ。これまで、タブレットやスマートフォンの画面をテレビにミラーリングすることで楽しみ方が増えるということ自体、あまり認知が進んでいなかったように思う。Chromecastのような人気製品がその魅力を広める起爆剤になれば、モバイル端末とテレビなどAV機器との連携がより加速するはずだ。iPhone/iPadも含めてChromecastのアップデートが現在の対応機種以外にも早く広がることを期待したい。
Chromecastには、まだ未知の伸びしろが沢山ありそうだ。画面のキャストができるようになったことで一気に出来ることも増えたが、今後は使い勝手に優れたネイティブアプリもさらに増えてほしい。