[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第102回】“当世ポタアン事情” <後編> いまどきポタアン3機種まとめてレビュー
▼Deef Sound「DDA-LA20RC」
スマートフォンと組み合わせての使い勝手に優れる「リモコン型」の最新製品。先に発売されていた「DDA-A20RC」(実売目安1万5,000円程度)はAndroid機器向けの製品だったが、こちらはそれに加えてLightningでのiOS機器との接続(しかも96kHz/24bitでの!)“にも”対応したバージョンだ。
また円形のデザインも特徴的で、そのデザインを際立たせるべく細部に仕上げにも気がつかわれている。ポタアンというとマニア向けの無骨なアイテムで見た目もそういう感じになりがちだが、使い勝手にしてもルックスにしてもそういう雰囲気ではないというのも、このモデルのポイントだろう。
また本機はバッテリー非搭載で、電源は接続したスマートフォン等の側から供給を受ける。スマートフォン等のバッテリーの減りは少しは早くなるだろう。しかし代わりに、スマートフォンとは別にポタアンもバッテリーの残りも気にして毎日充電管理するという手間はない。このあたりは各自で実際の使用感を想像&検討してみてほしい。
では写真と合わせてチェックしていこう。
音質チェックはこちらもiPhone 5に「HF Player」、Lightning直結でイヤホンはShure「SE846」という環境で行った。
iPhone 5にSE846直結の場合と比べると、ぱっと聴いただけだと音の厚みはむしろ薄くなったと感じるかもしれない。しかしそれは「高域と低域がよりクリアにワイドに再現されているために、厚みを感じさせる中低域の存在感は相対的には少し下がった」ということだ。そのことによって全体のバランスとしては最適化されており、よりクリアで情報量の多い再生となっている。
向上の度合いとしては、誰の耳にも明らかに「iPhone単体より圧倒的に高音質!」というほどではないかもしれない。しかしポタアンに興味を持つようなマニアックな方にとっては、このレベルアップは「なるほど着実!」と納得できるものだろう。
その「クリア」さの具体例としては特に、エレクトリックベースの音の見え方を挙げておきたい。ベースの音色自体が明確であるというだけではなく、その周囲の全ての音それぞれの明確さやその周囲の空間の透明度によって、ベースの不明瞭にもなりがちな低音も、よりくっきりと届いてくる。
もちろん低域に限らず中高域、例えばスネアドラムのバズ成分やゴーストノートといった細かな音もクリアに届いてくる。いわゆる演奏のニュアンスの部分だ。また全体に「カッチリ感」が少し強まることもポイント。ボーカルも透明感、清潔感を増す。
次ページ最後に、アナログタイプとしてわかりやすいFOSTEX「HP-V1」をレビュー