【連続レビュー第1回】
マークレビンソンから待望のデビュー、USB-DAC内蔵プリメイン「No585」を角田郁雄が聴く
マークレビンソンからついに登場する新プリメインアンプ「No585」は、同社の卓越したアナログ技術に、USB-DAC内蔵など最新のデジタル技術を融合させた注目モデルである。今回はこのNo585を、角田郁雄氏が徹底分析。内部構成の考察から音質レポートまでをお伝えしていく。
■録音スタジオでレファレンスとして使われていたマークレビンソン
マークレビンソンに、若かりし頃から憧れていた。そして、MCフォノイコライザー内蔵のプリアンプ「No26L」、ライン入力専用の「No38S」を長年使ってきた。現在では、最新のフラグシッププリアンプ「No52」を自宅システムにて愛用している。
マークレビンソンというブランドに傾倒する引き金となったのは、1998年に訪れたロサンゼルスにおけるA&Mレコードでの体験だった。このとき聴いたマークレビンソンは、カスタムコンソール(カスタムメイドの高音質ミキサー)の音質に酷似した、高解像度でワイドレンジな再生を実現していたのである。音楽的でかつエッセンシャルな弱音や倍音の再現性の高さも私を魅了した。
さらに当時訪れたあるプロデューサー宅では、リリース直前のCDの音質を、マークレビンソンのフルシステムをリファレンスに確認していた。そのときのシステムはプリアンプ「No26SL」、パワーアンプ「No.27L」、CDプレーヤー「No31.5」+「No30.6」という構成で、スピーカーはWilson Audioの「WATT/Puppy」だった。私はその音にすっかりインスパイアされたのである。
最新のプリアンプNo52では、回路の精度がさらに極められ、オーディオパフォーマンスが大幅に向上。併せて、ノイズフリーで強力な電源部を搭載するに至った。内部を観察すれば、まったく無駄のない高速レスポンスのアナログトランスファーが確認できる。ゆえにNo52を通した音は、格別に空間性が高く、演奏の姿を克明に描く解像度の高さが大きな魅力で、弱音から強音までの広いダイナミックレンジと俊敏な伝送力を身に付けている。再生する音楽にさらなる深みや躍動感を添えてくれるNo52は、ハイエンドスタジオの大型コンソールを使うような魅力を、日々感じさせてくれる。
■待望のUSB-DAC内蔵プリメインアンプNo585が登場
そのマークレビンソンから、最新のプリメインアンプ「No585」が登場した。プリアンプNo52に共通する実にスタイリッシュなデザインが印象的で、正面から見ると、同社のパワーアンプの中央にプリアンプを組み込んだように映る。本機の大きな特長はアナログ入力に加えて、192kHz/32bit PCMや5.6MHz DSDの再生が可能なアシンクロナス伝送対応のUSB-DACを内蔵したことだ。そのほか同軸/光デジタル、AES/EBUデジタル入力も装備している。
上部のカバーを外して筐体内部を観察すると、無駄なジャンパー線などまったくない、左右シンメトリーのモノラル・コンストラクション構成が見てとれる。中央にはウルトラローノイズ・トランスが配置されている。その後ろにはシールドされた3段のモジュール回路が見えるが、これがNo585のコア技術のひとつとなる。
この3段モジュール回路を簡単に説明すると、一番上にはディスクリート構成アナログプリアンプ回路が配置されている。中段はDAC部で、ESS社の32bit型DACチップの最高峰「ES9018」を使用し、I/V変換回路をディスクリート構成としている。下段は前述のUSB入力や同軸/光・AES/EBU入力を備えるデジタル処理部で、圧縮音源をCDクオリティーに近づけるDSP技術「Clari-Fi」がここに搭載されている。また、アナログ回路とデジタル回路が全く干渉しないように配慮されていることも特徴だ。
パワーアンプ部は、チャンネルあたり12個の出力トランジスターを使用したデュアルモノラル構成で、これは同社のパワーアンプ「No530Hシリーズ」と同等の仕様だ。出力は200W/8Ωを誇る。電源部には前述の大型ローノイズトランスが配置され、プリアンプ部、パワーアンプ部に強力かつクリーンな電源を供給している。
次のページでは、No585のサウンドを決定づけている技術と内部構成について、さらに詳細に解説したい。まず先に本機の音質について知りたいという方は、こちらから先に読んでいただければ幸いだ。
■録音スタジオでレファレンスとして使われていたマークレビンソン
マークレビンソンに、若かりし頃から憧れていた。そして、MCフォノイコライザー内蔵のプリアンプ「No26L」、ライン入力専用の「No38S」を長年使ってきた。現在では、最新のフラグシッププリアンプ「No52」を自宅システムにて愛用している。
マークレビンソンというブランドに傾倒する引き金となったのは、1998年に訪れたロサンゼルスにおけるA&Mレコードでの体験だった。このとき聴いたマークレビンソンは、カスタムコンソール(カスタムメイドの高音質ミキサー)の音質に酷似した、高解像度でワイドレンジな再生を実現していたのである。音楽的でかつエッセンシャルな弱音や倍音の再現性の高さも私を魅了した。
さらに当時訪れたあるプロデューサー宅では、リリース直前のCDの音質を、マークレビンソンのフルシステムをリファレンスに確認していた。そのときのシステムはプリアンプ「No26SL」、パワーアンプ「No.27L」、CDプレーヤー「No31.5」+「No30.6」という構成で、スピーカーはWilson Audioの「WATT/Puppy」だった。私はその音にすっかりインスパイアされたのである。
最新のプリアンプNo52では、回路の精度がさらに極められ、オーディオパフォーマンスが大幅に向上。併せて、ノイズフリーで強力な電源部を搭載するに至った。内部を観察すれば、まったく無駄のない高速レスポンスのアナログトランスファーが確認できる。ゆえにNo52を通した音は、格別に空間性が高く、演奏の姿を克明に描く解像度の高さが大きな魅力で、弱音から強音までの広いダイナミックレンジと俊敏な伝送力を身に付けている。再生する音楽にさらなる深みや躍動感を添えてくれるNo52は、ハイエンドスタジオの大型コンソールを使うような魅力を、日々感じさせてくれる。
■待望のUSB-DAC内蔵プリメインアンプNo585が登場
そのマークレビンソンから、最新のプリメインアンプ「No585」が登場した。プリアンプNo52に共通する実にスタイリッシュなデザインが印象的で、正面から見ると、同社のパワーアンプの中央にプリアンプを組み込んだように映る。本機の大きな特長はアナログ入力に加えて、192kHz/32bit PCMや5.6MHz DSDの再生が可能なアシンクロナス伝送対応のUSB-DACを内蔵したことだ。そのほか同軸/光デジタル、AES/EBUデジタル入力も装備している。
上部のカバーを外して筐体内部を観察すると、無駄なジャンパー線などまったくない、左右シンメトリーのモノラル・コンストラクション構成が見てとれる。中央にはウルトラローノイズ・トランスが配置されている。その後ろにはシールドされた3段のモジュール回路が見えるが、これがNo585のコア技術のひとつとなる。
この3段モジュール回路を簡単に説明すると、一番上にはディスクリート構成アナログプリアンプ回路が配置されている。中段はDAC部で、ESS社の32bit型DACチップの最高峰「ES9018」を使用し、I/V変換回路をディスクリート構成としている。下段は前述のUSB入力や同軸/光・AES/EBU入力を備えるデジタル処理部で、圧縮音源をCDクオリティーに近づけるDSP技術「Clari-Fi」がここに搭載されている。また、アナログ回路とデジタル回路が全く干渉しないように配慮されていることも特徴だ。
パワーアンプ部は、チャンネルあたり12個の出力トランジスターを使用したデュアルモノラル構成で、これは同社のパワーアンプ「No530Hシリーズ」と同等の仕様だ。出力は200W/8Ωを誇る。電源部には前述の大型ローノイズトランスが配置され、プリアンプ部、パワーアンプ部に強力かつクリーンな電源を供給している。
次のページでは、No585のサウンドを決定づけている技術と内部構成について、さらに詳細に解説したい。まず先に本機の音質について知りたいという方は、こちらから先に読んでいただければ幸いだ。
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