HOME > レビュー > マークレビンソンから待望のデビュー、USB-DAC内蔵プリメイン「No585」を角田郁雄が聴く

【連続レビュー第1回】

マークレビンソンから待望のデビュー、USB-DAC内蔵プリメイン「No585」を角田郁雄が聴く

公開日 2014/10/20 10:45 角田郁雄
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
単体プリアンプに匹敵する構成を備えたアナログプリアンプ部

アナログプリアンプ部で注目すべきは、左右対称のバランス型ディスクリート回路だ。ここでのアナログ信号の流れは、入力ステージ→抵抗切換えによる高精度ボリューム→出力ステージ、という順となる。入力ステージは、ほぼ無帰還のリニアリティーとコモンモード・ノイズ・リジェクションに優れた大容量ローノイズ・マッチド・デュアルFETを採用。このデュアルFETはカスケード接続されている。出力ステージには、信号の純度を維持して低いインピーダンス出力を保つための帰還回路も採用されている。

3段モジュール回路の最上段に位置するアナログ回路

最終出力段は、バイポーラ・トランジスタが用いられ実に贅沢に仕上げられている。この入力と出力ステージの中間に、複数の精密抵抗を切り換え動作する高精度ステップアッテネーター方式(0.1dBステップ)のボリュームが配置され、ここで音量調整される仕組みとなっている。これはプリアンプ「No52」と同等の高音質、高精度ボリュームである。ここで増幅されたアナログ信号は出力段へ接続する。

パワーブロックは同社のパワーアンプ「No.530Hシリーズ」の技術を踏襲

そして、アナログプリアンプ部からの信号はパワーブロック(出力段)で最終増幅される。このパワーブロックはAB級で、バイポーラ・トランジスタによる3パラレルプッシュプル回路をホット・コールドの双方に配置したブリッジ接続構成が特徴だ。片チャンネルあたり合計12個のトランジスターを使用しており、8Ω負荷で200W、4Ω負荷で350Wの出力を誇り、2Ω負荷までドライブ可能である。ダンピングファクターは400以上で、低いインピーダンス出力によりスピーカー制動力を格別に高めている。この出力を支えるために、チャンネルあたり3300μF/35Vの小容量コンデンサーを14個使用したハイスピード電源を搭載していることも大きな特徴だ。

筐体手前の中央に位置するのがウルトラローノイズ・トランスだ

ちなみに中央のウルトラ・ローノイズ・トランスの2次側(回路側)は、アナログプリアンプとパワーブロックへ個別に電源供給。アナログプリアンプ部の直近にも高品位なレギュレター電源を搭載し、パワーブロックには前述のように小容量コンデンサーを14個使用したハイスピード電源を搭載する。対してデジタル処理部では、高速処理に対応する余裕のある高品位なスイッチング電源が使用されている。

次ページNo585のサウンドを徹底検証する

前へ 1 2 3 4 5 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE