<山本敦のAV進化論 第28回>開発者訪問&試聴レビュー
ハイレゾ・ウォークマン 新旧ガチンコ対決!新「Aシリーズ」は「F880」を超えたか?
「以前まではウォークマンはウォークマン、ヘッドホンはヘッドホンと、それぞれ別々のチームで開発していましたが、結果として音質がマッチするところもあれば、そうでない部分も出てきました。その反省をふまえ、社内での連携をより深める体制ができました。現在はウォークマンもヘッドホンの開発チームと同じ部署内で設計していますので、横のつながりが強くなっています。設計段階から互いに試作評価機を貸しあって、音質評価を行っています。今回の製品はお互いに良いマッチングができたという実感があります。そのつなぎ役になったのは、まさしくハイレゾという一つの大きな流れだと思います」。
音質のチューニングで、Aシリーズならではの特徴はどんなところにあるのだろうか。浦川氏はこう語る。
「音質評価については、CDの時代から積み重ねてきた豊富なノウハウがあります。メインのソースがハイレゾになってもチェックポイントは同じで、開発者同士でその共有もできています。ハイレゾ再生については空気感や臨場感の再現を重視しています。音の広がり感はオーケストラのソースを使ったり、打ち込み系で高域がきっちりと出ているかをチェックしたり、いくつか定番のソースはありますが、偏らない楽曲選びを心がけながら、多くの方々に好んでいただけるような音に仕上げています」。
Aシリーズのデザイン的な特徴は、フロントパネルにアルミを使用していることだ。「高級感が出ることから、アルミを好まれる方はやはり世界中に多くいらっしゃいます。Aシリーズとしてもいよいよハイレゾ対応を実現したということで、一枚板のようにすっきりとしたプレート状のデザインに変更しながら、十字操作キーのデザインや物理ボタンの配置などにもシンプルさと新鮮さを与えています」と浦川氏。実際に片手で手に持った時の馴染みよさと、ボタン操作の使いやすさには好感が持てる。
筐体にアルミパネルを多く使用すると、Bluetoothの感度にも影響が出てくるものだ。F880では背面トップ側に樹脂性のパーツを組み合わせてアンテナの感度を確保しているが、Aシリーズではフロントからのルックスにこだわりながら、アンテナの感度も損なうことなく、アルミの質感を活かしたデザインに仕上げている。
■「A VS F880」試聴対決!
Aシリーズと、今回音質のベンチマークにしたというF880シリーズを同時に試用し、それぞれ交互に同じ楽曲を聴きながら聴き比べてみた。F880については「ClearAudio+」の設定をONにして聴いている。リファレンスのヘッドホンにはMDR-1Rを使った。