<山本敦のAV進化論 第28回>開発者訪問&試聴レビュー
ハイレゾ・ウォークマン 新旧ガチンコ対決!新「Aシリーズ」は「F880」を超えたか?
F880で聴くと低域の厚みが増した印象を受けるが、解像表現力という観点からはAシリーズの方が優れていると感じる。全体のバランスが中低域にウェイトが置かれ、ハイトーンも良く伸びてはいるが、音のきめ細かさや空気感という観点からAの音と比較すると、F880が一世代前の音に感じられてしまうのだ。
・ビル・エヴァンス トリオ Waltz For Debby/Milestones(192kHz/24bit FLAC)
鋭い緊迫感のある硬質なピアノのタッチ。シンバルの余韻など、全体の描き込みが丁寧で緻密なところはAシリーズの特徴と捉えて良いと思う。ピアノの音のつながりがスムーズで、抑揚表現も豊か。スピード感やキレも申し分ない。透明な低域がうねるベースラインの細かい音をよく拾ってくる。迫力を求めるならAだと少し物足りなく感じる場合もあるかもしれないが、色づけの無いニュートラルな低域に筆者個人としては好感が持てた。ドラムスの音にはキレとスピード感があり、シンバルの余韻の広がりも繊細できめが細かい。
F880はピアノの音のフォーカスがわずかに甘く、Aの方がより立体的な演奏に感じられる。全般に中域のクリアさや解像感はAの方に軍配が上がる。
■ポタアン「PHA-3」と組み合わせて聴いてみた
AシリーズはWM-Portからのハイレゾを含むデジタル出力に対応している。今回はソニーのポータブルヘッドホンアンプ「PHA-3」と組み合わせた時の音も聴いてみた。
接続方法は至ってシンプル。アンプに付属してくるWM-PortーmicroUSB仕様の専用ケーブルで機器をつなぐ。アンプ背面の入力切替をウォークマンが接続されているUSB端子にセットして、出力はヘッドホンに合わせる。アンプのトップパネルにはちょうど良い具合にウォークマンを乗せることができる。