[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第104回】地味にもほどがある企画!高橋敦が解説する “ボリューム” 大全
■各社の対応策や独自のボリューム技術
ではここからは、オーディオメーカー各社の実際の製品はどのタイプのボリューム制御手法を採用しているのかという例を、特徴的なところをピックアップして紹介していってみよう。
▼アナログボリュームをデジタル等で制御
これを採用しその点をアピールしているメーカーや製品、その技術としては例えば、
・LUXMAN:「LECUA」
・NuForce:P-20、IA-18「デジタル制御された抵抗切り替え式ラダー回路」
・iFI Audio:nano iDSD「ソフトウェアで制御されたステップ式ボリュームコントロール」
・ACCUPHASE:「AAVA方式ボリューム・コントロール」
といったところがある。「」で括ってある部分がその技術名、またはその製品の公式情報での説明部分からの引用だ。しかし「アナログボリュームをデジタル等で制御」という大枠は共通するが、実際の動作は全て同じなわけではないだろう。
例えばACCUPHASE「AAVA」は、音楽信号を抵抗に通して減衰させるのではなく、抵抗の切替によってアンプのゲイン(増幅幅)を変化させることで音量を変化させるタイプとの記述がある。この記事における表現で言うと「アナログのアクティブな音量調整をデジタル等で制御」しているわけだ。他の製品が「アクティブ」方式なのか「パッシブ」方式なのかは、製品情報からは僕には読み取りにくい。
▼量子化ビット数を拡張してのデジタル調整
・NuForce:DAC-80「デジタル32-bitボリューム調節」
NuForceは、先ほど紹介した「P-20」や「IA-18」は同社のハイエンドラインで、そちらには「デジタル制御された抵抗切り替え式ラダー回路」を採用している。一方でホームまたはデスクトップ向けとされている「DAC-80」は「デジタル32-bitボリューム調節」だ。このあたりは前述の「(デジタル制御式を含め)アナログ方式ボリュームのクオリティを高めるにはコスト等がかかり、コスト等が限られている場合はデジタル方式の方がある程度のクオリティは得やすい」というところからの判断なのかもしれない。
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