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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第106回】ヘッドホン/イヤホンの「バランス駆動」徹底解説!− 基礎知識から聴き比べまで一挙レポート

公開日 2014/11/21 12:55 高橋敦
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■バランス駆動の問題点

だいたい良いことだらけなバランス駆動だが、現状には大きな問題というか厄介がある。根本的な原理の問題ではなくあくまでも実装上の話なのだが、接続端子が全く統一されていない。それどころか乱立状態なのだ。僕が把握しているだけでもアンプやポータブルプレーヤー側のバランス駆動用接続端子は7種類。しかも小規模なメーカーによる規格が乱立しているというレベルではなく、代表的なメーカーもそれぞれが別の端子を採用している状況だ。



2.5mm/4極(AK120II)

3.5mm/4極(HiFiMAN「HM700」)


2.5mm/2極 ×2(ratoc「REX-KEB02iP」)

3.5mm/3極 ×2(Sony「PHA-3」)


IRIS/4pinマイクロ(ALO audio「The International +」)※記事初出時、mini XLRと記載しておりましたが読者様からのご指摘にて修正させて頂きました。申し訳ございません。ありがとうございました

XLR/4pin(OPPO「HA-1」)


XLR/3pin ×2(Luxman「P-700u」)
加えてだがご存知のように、ヘッドホンやイヤホンはそちら側のリケーブル端子も各メーカー各モデルごとに異なり乱立している。なのでバランス駆動対応ケーブルはその両端の端子の種類によって「バランス駆動端子×リケーブル端子」の組み合わせの数だけのバリエーションが「無数に存在する」のだ…

…と言いたいところだが問題はさらに厄介。需要が少なくて商売にならない感じの端子の組み合わせは、製品としては「ひとつも存在しない」場合もある…

ヘッドホンやイヤホンの側のリケーブル端子は、モデルごとに本体のデザインも大きく違えば、どういった力が加わった場合にどの程度の耐久性を発揮すればよいのかといったことへの考え方も違う。こちらの統一は難しいだろうし、下手に統一することの弊害も小さくはなさそうだ。

もちろんアンプ側のバランス駆動端子も、各端子の様々な長所短所を把握した上で、各メーカーがこれがベターだと判断して採用しているもののはずだ。なので簡単に「あれに統一してよ」とは言い難い。

しかし例えばパイオニア「U-05」がそうしてくれているのだが、端子乱立がアンプにXLR/4pinとXLR/3pin ×2の2種類の端子を共に搭載するといった対応策までを求めてくるという状況は、開発者やメーカーにとっても嬉しくはないはずだ。ユーザーである僕としても、いまの状況ではこういった対応はありがたいし感謝するが、その一方で無駄が多く美しくないとも感じてしまう。

Pioneer「U-05」。左からXLR/4pin、XLR/3pinのL、XLR/3pinのR。美しくはないが現状への配慮、その優しさは嬉しい

難しいことなのだろうが、ポータブル用と据え置きそれぞれ一種類への収束を期待したい。なお海外ではすでに、ポータブル用については統一に向けての動きは始まっているそうだ。

次ページポータブル環境、据え置き環境それぞれでバランス駆動の効果を体験!

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