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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第106回】ヘッドホン/イヤホンの「バランス駆動」徹底解説!− 基礎知識から聴き比べまで一挙レポート

公開日 2014/11/21 12:55 高橋敦
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■バランス駆動の効果を体験

最後に「理屈はわかった。で、実際にどう聴こえるのか。大切なのはそこだ」という方が多いかと思うので、例としてふたつのシステムでの体感レポートを簡単にだがお届けしよう。

▼ポータブルのイヤホンシステム

<使用機器>
・プレーヤー:Astell&Kern「AK120II」
・イヤホン:Shure「SE846」
・リケーブル:Beat Audio「Signal」

これを…

こうして…


こうじゃ!

プレーヤーとイヤホンは、単に僕が聴き慣れていて気に入っているものを選んだ。

ケーブルは、「イヤホン側がShure対応MMCX端子でアンプ側が通常のアンバランス3.5mmとAK用バランス2.5mmというのを、同じモデルのバリエーションとして用意できるものでいまおすすめなやつ貸してください」とお願いしたらこれを届けていただいたので。つまり今回はリケーブルの効果ではなくバランス駆動の効果にフォーカスして試聴するので、「アンバランスとバランスの違いの他はおおよそ同じなケーブル」ということを重視して手配したわけだ。

まずはアンバランスで聴くと、高域は銀ベース(銀に何かしらのレアメタルを配合してチューニングとのこと)の導体らしい嫌味でないきらきらエンハンス感、低域は相対的に引き締まってスピード感もよい具合。SE846は特に高域ではほぐれた音調が持ち味だが、そこをもうちょっとシャープにしたい方にはおすすめしたくなるようなケーブルだ。この心地よいシャープさはAK120IIの持ち味がうまく生かされているようにも感じる。

…とケーブル(Beat Audio「Signal」)の印象も確認できたところでバランス駆動にチェンジ。すると印象としては、まず高域はアンバランスのときよりはシャープさは控えて少しほぐれる傾向に戻る。ケーブルの銀線っぽさよりもSE846のらしさの方に少し戻った。ここはより整い、癖を出しすぎないようになったと捉えるべきか。

中低音は、明らかに音圧や厚み、勢いを増している。バスドラムの響きといった特に低い空気感もより豊かに思える。もちろん絶対的な音量はテストトーンでの比較等でアンバランスとできる限り揃えた。ということは例えば音圧の部分はもしかして、スルーレートの向上でのアタックの良さといった要素のおかげなのかもしれない。またセパレーションの向上のおかげか、ひとつひとつの音のが肉厚になっても、それが狭苦しく密集する感じにはならない。といってもすかっとすっきりした見通しのよさで言えば、銀線らしい明るさも存分に発揮するアンバランスの方が好みという方もいるような気もする。

なおその音量だが、結果的には、この組み合わせでのAK120IIはアンバランスでもバランスでも同じ音量設定の数値でだいたい同じ音量を出してくれた。そのように調整されているのだろう。使いやすさへの配慮を感じる。

次ページ続いて、OPPO製品を使用した据え置きのヘッドホンシステムでバランス駆動

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