フィリップスの新スタンダード・イヤホン「TX2」レビュー。上位ライン“Fidelio”の技術を継承

■倍音再現や繊細な表現も難なくこなす万能型モデル

ややウォーム傾向の本機で不安だったのはギターの歪みの倍音、エッジ感やピッキングハーモニクス奏法の突き抜け方、シンバルの炸裂感などだったが、そこも問題なし。音色の暴れも十分に感じられる。ほどよくダイナミック型らしい表現だ。情報量も十分だが、全体での勢いや厚みの方が印象的ではある。

一方で、キタエリさんの激しく歌うときでもそこに鈴の鳴るような綺麗な響きが混じる声の再現性もよく、その声が厚みに埋もれてしまうこともない。他、相対性理論、坂本真綾さんの声も聴いたのだが、シンバル等と同じく、が耳障りではないシャープさが印象に残った。

TX2のコストパフォーマンスは特筆できるもので、この近辺の価格帯の既存モデルの中でもトップレベルと言える。同じくPHILIPSにはブランドを超えたハイC/Pイヤホンの代表格「SHE9710」（高橋敦氏によるレビュー）があるが、SHE9710よりもうワンランク上のイヤホンが欲しいというような方には、まさにうってつけかもしれない。とにかく「期待はしていた…しかしそれを超えた！」なスタンダードクラス・イヤホンだ。