【特別企画】
パイオニア「BDP-LX88」1万字レビュー − 最高峰モデルの画質・音質を貝山知弘が徹底分析
■再生専用機の優位性
BDを再生する時、ディスク再生機器の選択肢は2通りある。再生専用の〈BDプレーヤー〉を使うか、録画/再生の両方が可能な〈BDレコーダー〉を使うかのいずれかだ。便利さ求める一般的ユーザーの選択がレコーダーに集中することは明らかである。これ一台でテレビ番組を記録するこはもできるし、BDや録画した番組の再生もできるからだ。
「しかし……」と映像の画質や音質にこだわるユーザーは考える。BDの優れた画質や音質を最大限に楽しむには、BDレコーダーよりBDプレーヤーの方が有利であることを知っているからだ。なぜプレーヤーの方が有利なのか? それはディスクの再生では使わぬ機能、TV放送のチューナー(受信機)や放送を録画する機能(レコーダー)がないからだ。オーディオ機器に詳しいユーザーなら、回路は単純な方がノイズの発生が少なく、外来ノイズの影響も受けにくいという理屈が判るはずだ。
だが、誤解がないように言っておきたいことがある。いくらプレーヤーの方が音質的に有利だと言っても、個々の機器の価格差は無視できない。2〜3万円以下のプレーヤーの音質が10万円以上のレコーダーより高音質であることはありえないからだ。
ここでは判りやすく、「同じ価格帯の製品ならば、レコーダーよりプレーヤーの方が有利だ」と言っておこう。
■BDコンテンツの4Kアップ・スケーリング処理
4Kのテレビやプロジェクターの登場で、BDプレーヤーの役目は大きく変化した。4Kの再生を楽しむには、ハイビジョンの信号(2K)を4Kの信号に変えることが必要だ。2Kから4Kへの信号のディスプレイ(テレビ/プロジェクター)側で行ってもいいが、最も合理的なのはBDプレーヤー/レコーダーで4K化するという方法だ。なぜならこうした変換はできるだけシステムの前段で行なう方が好結果が得られるからだ。
BDP-LX88では、まずBDから拾い上げたHDコンテンツ(2K)の情報を〔Precise Pixel Driver〕のHDディティール・エンハンサーを通して、映像からテクスチャ部を抽出し適正な補正を行なって細部の質感を向上させ、次にノイズリダクション回路を通して3種類のノイズ(ガウシアンノイズ/プロックノイズ/モスキートノイズ)を低減し、その出力をアップスキャニング回路のある〈4Kリファレンス・コンバーター〉に送り込み2K信号を4K信号に変換している(4Kアップスケーリング処理)。
この処理が終わった信号は、HDMIの最新規格2.0に準拠し18Gbpsの伝送帯域に対応したフルスペックの4K映像出力として出力される。この処理では色差信号やRGBの周波数帯域も拡大されている。
・4K/24p YCbCr4:4:4/36bit
・4K/60p YCbCr4:2:2/36bit
・4K/60p YCbCr4:4:4/24bit
・4K/60p RGB 4:4:4/24bit
(YCbCrは色差信号)
こうした画質処理で最も大切だと思うのは、ソースに忠実な映像の再現を常に念頭においておくことだ。よいところは残し、欠点のある分だけを修正するという処理が望まれる。尖鋭度をあげようとして輪郭を強調したりすると、映像で大切な奥行き感や距離感が狂ってしまうからだ。