【特別企画】
パイオニア「BDP-LX88」1万字レビュー − 最高峰モデルの画質・音質を貝山知弘が徹底分析
最近の映画で高解像度な作品は『ヒッチコック』『マーヴェリックス』『ザ・マスター』『キャプテン・フィリップス』など。今回はそのすべてを観たが、そこで判ったのは4Kテレビ/プロジェクターの再生では、超解像により創り出される情報量の多さが解像度の表現にそのまま現れるということだ。それは前述した「Precise Pixel Driver」の効果だ。BDP-LX88ではその効果で2K映像の細部の質感を向上させているが、これだけでも画質向上の効果が大きい。これが実証できるのは、20世紀FOX製作の2作品『007 スカイフォール』と『ヒッチコック』。この2枚のBDは2Kマスターのディスクではあるが、超解像による画質改善が成功しやすい映像である。
4Kの映像では、色の濃密な表現も大きな特徴だ。ディスク全体からみれば、高解像度が得られる確率より、色乗りのいい濃密な色表現が得られる可能性の方がずっと多いと言える。BDP-LX88でも、この効果を重視した対策がとられていることは前記した色帯域拡大の表を見れば判断できるはずだ。
『ヒッチコック』は、色乗りのよさ、色表現のリアルな美しさで光る作品でもある。アンソニー・ホプキンスが「サイコ」撮影中のヒッチコック監督を演じる作品だが、ジャネット・リー役のスカーレット・ヨハンソンの美しさが光る。メイクを施した肌の質感と肌色が見事に表出されている。
■まとめ:BDP-LX88はBDプレーヤーのトップに立つモデル
今回のBDP-LX88の試聴テストは実に楽しい日々であった。よい製品と出会った時に得られる快感はオーディオ機器でもビデオ機器でも変わらない。国産の高級なユニバーサル・プレーヤーが少なくなったことは、AVファイルのみではなく、オーディオファイルにとっても寂しいことに違いない。限られた試聴空間では各種のプレーヤーを並べることはできない。1台のプレーヤーですべてのデジタルディスクが再生できるユニバーサル・プレーヤーは、本来プレーヤーの本筋にあるべきジャンルだ。BDP-LX88は、その機能といい、音質といい、このジャンルの製品のトップに位置しうる製品だ。音楽ディスクだけでなく、映像ディスクの山を抱えているわたしは、この機会にこのモデルを導入しようと思っている。