【集中連載】一からわかる!音楽ファンのための “ネットオーディオ” 完全ガイド 第1回:まず『音源』ありき
ディスクからデータへ
CDが登場してから30年以上が経過し、私たちが音楽を手に入れ、そして楽しむ環境は大きく様変わりしました。
PCにCDを取り込むことが一般化し、iTunes Storeをはじめとする音楽配信サービスが普及したこともあって、音楽を聴く際にCDそれ自体が使われることは以前に比べて少なくなりました。オーディオ業界もこの変化とは無縁ではなく、CDプレーヤーの製品数もだいぶ減った印象を受けます。これはUSB DACというジャンルの活況とは対照的です。
ディスクからデータへ。この流れはもはや変わらないでしょう。CDプレーヤーというジャンルが先細りになっていくのは寂しいですが、それでも音楽を聴く楽しみが消えてなくなるわけではありません。
音楽がディスクから解放されてデータとなり、PC上でデジタルファイルとして扱えるようになったことは、いくつかの大きな変化をもたらしました。
ライブラリが10枚や20枚ではたいした問題にならずとも、100枚、200枚、500枚、あるいは1000枚と増えていくにつれて、いくらCDがその名の通りコンパクトとはいえ、保管のためのスペースの確保は大きな問題になっていきます。置き場所に困り、CDラックがあちこちに分散した結果、次第にどこに何があるかもわからなくなり、終いには頻繁に聴くわずかなCD以外、ほとんど死蔵状態になってしまう。
音楽を愛し、音源に多く投資をする人であるほど、多かれ少なかれこのような経験をお持ちではないでしょうか。せっかく音楽を買ったのに、これでは悲しすぎます。
一方で、データには形がありません。せいぜい辞書程度の大きさのHDDの中に、CD数千枚相当の音源が保存できます。保存のための容量は簡単に増設でき、事実上無限大の音源を省スペースに集約することが可能です。そして、CDの80分という収録時間や曲順に縛られる必要も、聴きたい曲のためにCDを交換する必要も、立ち上がってCDラックまで往復する必要もありません。好きな音楽を、好きなように、好きなだけ聴けるようになりました。
ディスクから解放されて純粋なデータとなることで、音楽はより身近な存在となります。CDでは得られない保存性と音楽への自由なアクセス性こそ、デジタル・ファイルとして音源を扱うことのメリットです。