【集中連載】一からわかる!音楽ファンのための “ネットオーディオ” 完全ガイド 第1回:まず『音源』ありき
音楽を大切にするという姿勢は変わらない
目に見えず、形もないデータへ移行することは、CDに慣れ親しんできた人ほど抵抗が大きいかもしれません。音源がデータ化されることで得られるものがある一方、失われるものもあります。壁一面に並ぶコレクションを眺め、トレイにディスクを載せるという行為そのものに心躍らせる、そのような楽しみは、確かにデータでは味わえません。
しかし、本来大切なのはCDというメディアそれ自体ではなく、
そこに収録されている音楽のはずです。
また、直接的な再生メディアとして用いられなくなったとしても、CDの価値が消えてなくなるわけではありません。今までに積み上げてきたCDという財産がなければ、デジタル音源のライブラリもまた存在しないからです。形こそ変われど、音楽を大切にするという姿勢は決して変わりません。
本連載のねらい
CDでは得られない保存性と音楽への自由なアクセス性こそ、デジタル・ファイルとして音源を扱うことのメリットであると書きました。しかし、闇雲に音源を扱うだけでそれらを手に入れることはできません。それどころか、素直にCDを使っていたほうがよほどよかったという状況に陥る可能性すらあります。
これから本連載では、デジタルファイルとして音源をどのように管理・運用すればよいのか、またどのように再生すればよいのかを紹介していきます。本連載の目的は音質の追求でも、厳密な用語解説でもありません。本連載の内容が必ずしもすべての方々にとって最適解であるとは限りませんが、何かしらのヒントにはなるはずです。
最終的に、PC的な領域とは無縁だった従来のオーディオファイルの方々には「音源をデジタル・ファイルとして扱うことで得られる快適さ」を、一方で音楽を聴くうえでデジタル・ファイルを使うのが当たり前の若い方々には「良い音で音楽を聴く楽しさ」を、それぞれお伝えできたらと考えています。
連載目次 |
第1回「まず『音源』ありき」 第2回「タグについて理解しよう」 第3回「コーデックの基礎知識」 第4回「ライブラリを構築する」 第5回「音源の入手方法(1) CDのリッピング」 第6回「音源の入手方法(2) 配信サイトからのダウンロード」 第7回「PCオーディオで楽しむ(1) 基礎知識」 第8回「PCオーディオで楽しむ(2) USB DACを活用する」 第9回「PCオーディオで楽しむ(3) 色々な再生ソフト」 第10回「PCオーディオで楽しむ(4) オーディオルームとPCの親和性」 第11回「ネットワークオーディオで楽しむ(1) 基礎知識」 第12回「ネットワークオーディオで楽しむ(2) サーバー」 第13回「ネットワークオーディオで楽しむ(3) プレーヤー」 第14回「ネットワークオーディオで楽しむ(4) コントロール」 第15回「様々な再生方法」 |
逆木 一 SAKAKI Hajime
オーディオ・ビジュアルという趣味を愛し、ピュアオーディオとホームシアターの幸せな融合を目指して日々邁進中。ここ数年はネットワークオーディオという方法論に大きな可能性を見出し、その魅力を浸透させるべく活動。音展2014にて「ネットワークオーディオで実現する快適な音楽再生」という講演を実施するなど、活動の場を広げている。
■ブログ「言の葉の穴」http://kotonohanoana.com/