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【特別企画】OPPO連続レビュー 第1回

“4極グランド分離出力”はなぜ高音質なのか? OPPOのポタアン「HA-2」とヘッドホン「PM-3」で検証

公開日 2015/05/13 12:09 山本 敦
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OPPO以外のヘッドホン・イヤホンで「4極グランド分離出力」の音質を楽しむには?

4極グランド分離出力による音質的なメリットは想像以上であることが確認できた。それでは、この効果を、PM-3以外のヘッドホンやイヤホンで味わうことはできないのだろうか?

実はミックスウェーブが取り扱う米Beat Audioから、先頃3.5mmの4極プラグを搭載した「4極グランド分離出力」による接続に対応するリケーブルが発売された(関連ニュース)。既存のラインナップから「Signal」「Vermilion」「Supernova」の各シリーズから対応モデルが出ることになる。イヤホン側のコネクターもカスタムIEMに多い「2ピン」から、「MMCX」「Westone用MMCX」の3種類が揃っている。

4極ステレオミニ端子仕様のSupernova(for Shure) ¥OPEN(市場想定価格32,600円前後)

3極ステレオミニ端子仕様のSupernova(for Shure) ¥OPEN(市場想定価格29,800円前後)

こうした4極グランド分離出力に対応したケーブルを用いる、手持ちのヘッドホン・イヤホンで「HA-2」によるバランス出力のサウンドが楽しめるようになるわけだ。これはぜひ試したいと考えた筆者は、「Supernova」の4極グランド分離出力に対応する新製品と、比較試聴用に3極仕様のケーブルの両方をお借りした。なおどちらのケーブルもプラグへの結線以外は同じ導体を使っている。イヤホンは筆者が普段使っているソニーの「XBA-Z5」を用意した。コネクター形状はMMCXで、つないでみたら問題なく接続ができたが、公式にはSupernovaがサポートを表明していない組み合わせであることも補足しておく(再生には問題なかったものの、XBA-Z5の端子の形状が特殊なため、接続部がやや不安定となる)。

4極ステレオミニ端子仕様のSupernovaとUltimate Ears「UE900」を組み合わせたところ

アンプのゲイン設定は、聴き比べてみてHighに設定した。ちなみにスイッチを切り替えると、少し間を置いてからゆっくりとLowからHighに切り変わる。イヤホンを装着したままゲインを切り替えてしまった場合でも、いきなり音量が上がって耳にダメージを与えないよう気配りを感じさせる仕様だ。

XBA-Z5は低域に独特なインパクトのあるイヤホンであり、アンプやプレーヤーとの組み合わせがハマれば、この上ないほど生命感に溢れる切れ味の良いリズム感が味わえる。今回試聴したセッティングでは、遂に本機の本領が発揮されたという満足感を得ることができた。

サポート外だが、筆者が聴き慣れた「XBA-Z5」をSupernocaと組み合わせて4極グランド分離出力の効果を確認。左写真は4極仕様、右写真は3極仕様のSupernovaとの組み合わせ

TOTOのライブ・アルバム『35周年アニヴァーサリー・ツアー 〜ライブ・イン・ポーランド2013〜』から「ストップ・ラヴィング・ユー」では、4極グランド分離出力による大きなメリットであるセパレーションの向上が明らかに実感される。プレーヤーの立ち位置が鮮明になり、オーディエンスのざわめきや拍手まで生々しく伝わってくる。楽曲後半に展開されるエレキギターとドラムスによる緊張感溢れる掛け合いでは、音の立ち上がりが鋭く、低音の歪みが非常に少ない。バスドラムは量感と音圧感の均整が絶妙に取れていて、シンバルやハイハット、エレキギターの音色をマスクすることなく、均等に各帯域の音のエッセンスを伝えてくる。

いずれもSupernovaのステレオミニ端子だが、上が3極ステレオミニ端子、下が4極ステレオミニ端子となる

ノラ・ジョーンズのアルバム『Come Away With Me』から「Nearness Of You」では、4極ケーブルに付け替えるとボーカルの立体的なイメージがさらに引き立つ。伴奏のピアノとの距離感が自然に定位することで、ボーカルの存在感が一段とリアリティを増すような感覚だ。ディティールの情報量が増えることで、口元の動きに艶めかしい表情が見え隠れしてくる。ボーカルはシャープな輪郭を保ちつつ、透明な余韻が心地良く響いて包み込む。リスナーとボーカリストを隔てていたベールが取り払われた高揚感を改めて感じた。

ポータブルオーディオの音質向上に高い効果が実感できた

今回はOPPOの「PM-3」とBeat Audioのケーブルを使った「XBA-Z5」をリファレンスに、「HA-2」の4極グランド分離出力によるサウンドを試聴してみた。いわゆるバランス出力と変わることのない、高い音質向上効果が得られることがわかったのは大きな収穫だった。通常のアンプ回路でも十分な出力を確保すれば、バランス出力と同様の効果が得られると言えそうだ。ポータブルオーディオの場合、本体の限られたスペースで高音質化の効果を最大限に獲得するための有効なアプローチとして、4極グランド分離出力は今後一つのメインストリームになっていくような期待感も膨らんでくる。

(山本敦)

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