「USB出力を備えたネットワークトラポ」を考える
音楽ファンのための “ネットオーディオ” 完全ガイド【第15回】「様々な再生方法を整理する」
理想の音楽再生用PCとしてのネットワークオーディオプレーヤー
PCを再生機器として使う時、必要なのはデジタルファイル再生に必要な機能であって、PCそのものではありません。オーディオ的にこだわったハードと、機能を絞り込んだOS・ソフトを組み合わせることで、理想の音楽再生用PCを作るという試みも続けられてきました。LinuxやMPDといったものはこの文脈で多く登場します。
音楽再生用PCはUSB出力を持つ場合が多く、本体機能を絞り込むがゆえにネットワーク経由で外部からのコントロールが前提とされます。PCとUSB-DACの組み合わせはまさにPCオーディオですが、ネットワークオーディオの本質はコントロールです。はたしてこのような音楽再生用PCを使ったオーディオの形態はPCオーディオでしょうか、それともネットワークオーディオでしょうか。そもそも区別する必要があるのでしょうか。
第13回で、PC・再生ソフト・USB-DACの組み合わせをオーディオ的に磨き上げていけば、最終的にはネットワークオーディオプレーヤーになると書きました。まさにそれを体現する形として、WEISS「MAN301」といった製品があります。
これらの製品は、実質的にネットワークオーディオプレーヤーとして機能し、優れた音質とユーザビリティーを実現するにせよ、「音楽再生専用OSがインストールされたオーディオPC」と捉えることができます。あくまでオーディオ機器として設計され、そこに必要な機能を載せていくネットワークオーディオプレーヤーとは少々性格が異なります。
しかし、ユーザーがそんなことをいちいち考える必要はありません。例えばMAN301のように「元々はPC」である製品は、はたしてPCオーディオかネットワークオーディオか、などと気に病む必要もありません。
USB出力を搭載したネットワークオーディオトランスポートと同様に、これらの製品のユーザビリティはネットワークオーディオと同じ土俵にあります。あとは使って、聴いて、使いやすいか、音が良いかというだけです。
最後に
ネットオーディオの真価とは「快適な音楽再生」であり、それはPCオーディオとネットワークオーディオの双方で実現可能です。使う音源は同じ、コントロールの方法論も共有できるとすれば、PCオーディオとネットワークオーディオを異質なものとして対立させる必要はありません。
今回紹介した従来の区分では捉えるのが難しい製品も、PCとUSB-DACの組み合わせも、ネットワークオーディオプレーヤーも、究極的には「ネットオーディオにおける再生機器」に他なりません。大切なのはあれこれと区別を気にすることではなく、使って、聴いて、ひとりひとりがどう感じるかです。
さまざまな製品を「ネットオーディオにおける再生機器」として捉え直した時、最後の最後に残るのは個々の機器の「オーディオ機器としての完成度」であり、そして「ユーザビリティの完成度」だと言えます。どちらが欠けてもいけません。「良い音で音楽を聴く楽しさ」と「快適な音源管理・再生」をどちらも叶えてくれるもの――それが「ネットオーディオ」ですから。
逆木 一 SAKAKI Hajime
オーディオ・ビジュアルという趣味を愛し、ピュアオーディオとホームシアターの幸せな融合を目指して日々邁進中。ここ数年はネットワークオーディオという方法論に大きな可能性を見出し、その魅力を浸透させるべく活動。音展2014にて「ネットワークオーディオで実現する快適な音楽再生」という講演を実施するなど、活動の場を広げている。
■ブログ「言の葉の穴」http://kotonohanoana.com/
PCを再生機器として使う時、必要なのはデジタルファイル再生に必要な機能であって、PCそのものではありません。オーディオ的にこだわったハードと、機能を絞り込んだOS・ソフトを組み合わせることで、理想の音楽再生用PCを作るという試みも続けられてきました。LinuxやMPDといったものはこの文脈で多く登場します。
音楽再生用PCはUSB出力を持つ場合が多く、本体機能を絞り込むがゆえにネットワーク経由で外部からのコントロールが前提とされます。PCとUSB-DACの組み合わせはまさにPCオーディオですが、ネットワークオーディオの本質はコントロールです。はたしてこのような音楽再生用PCを使ったオーディオの形態はPCオーディオでしょうか、それともネットワークオーディオでしょうか。そもそも区別する必要があるのでしょうか。
第13回で、PC・再生ソフト・USB-DACの組み合わせをオーディオ的に磨き上げていけば、最終的にはネットワークオーディオプレーヤーになると書きました。まさにそれを体現する形として、WEISS「MAN301」といった製品があります。
これらの製品は、実質的にネットワークオーディオプレーヤーとして機能し、優れた音質とユーザビリティーを実現するにせよ、「音楽再生専用OSがインストールされたオーディオPC」と捉えることができます。あくまでオーディオ機器として設計され、そこに必要な機能を載せていくネットワークオーディオプレーヤーとは少々性格が異なります。
しかし、ユーザーがそんなことをいちいち考える必要はありません。例えばMAN301のように「元々はPC」である製品は、はたしてPCオーディオかネットワークオーディオか、などと気に病む必要もありません。
USB出力を搭載したネットワークオーディオトランスポートと同様に、これらの製品のユーザビリティはネットワークオーディオと同じ土俵にあります。あとは使って、聴いて、使いやすいか、音が良いかというだけです。
最後に
ネットオーディオの真価とは「快適な音楽再生」であり、それはPCオーディオとネットワークオーディオの双方で実現可能です。使う音源は同じ、コントロールの方法論も共有できるとすれば、PCオーディオとネットワークオーディオを異質なものとして対立させる必要はありません。
今回紹介した従来の区分では捉えるのが難しい製品も、PCとUSB-DACの組み合わせも、ネットワークオーディオプレーヤーも、究極的には「ネットオーディオにおける再生機器」に他なりません。大切なのはあれこれと区別を気にすることではなく、使って、聴いて、ひとりひとりがどう感じるかです。
さまざまな製品を「ネットオーディオにおける再生機器」として捉え直した時、最後の最後に残るのは個々の機器の「オーディオ機器としての完成度」であり、そして「ユーザビリティの完成度」だと言えます。どちらが欠けてもいけません。「良い音で音楽を聴く楽しさ」と「快適な音源管理・再生」をどちらも叶えてくれるもの――それが「ネットオーディオ」ですから。
逆木 一 SAKAKI Hajime
オーディオ・ビジュアルという趣味を愛し、ピュアオーディオとホームシアターの幸せな融合を目指して日々邁進中。ここ数年はネットワークオーディオという方法論に大きな可能性を見出し、その魅力を浸透させるべく活動。音展2014にて「ネットワークオーディオで実現する快適な音楽再生」という講演を実施するなど、活動の場を広げている。
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