様々な角度から徹底比較
【レビュー】3,500万曲が聴き放題「Google Play Music」を試す。Apple Musicとも比較
■再生履歴にすぐにたどり着けるため使い勝手がよい
シチュエーション別のリコメンドの下に表示されるのは「最近のアクティビティ」。最近再生または追加した曲が表示されるんだが、これが非常に便利だ。当たり前の機能と思うかもしれないが、Apple Musicでは、これを表示するための手順がかなりまどろっこしい(しばらくのあいだ、そういう機能がないのかと思っていたほどだ)。
Apple Musicでは、再生中の楽曲を表示し、再生ボタンの右にあるリストボタンをタップ。すると「次はこちら」が表示され、過去に再生した楽曲の履歴をさかのぼったり、これから再生する楽曲の順番を変えたりすることができる。たどり着くまでの手間が多く、アプリを立ち上げたとき、すぐに過去履歴を参照できないのが不便だ。
対するGoogleは、メニューに最近のアクティビティを置いていること自体はよいのだが、そこに表示されるのがアルバム単位だったりラジオ単位で、楽曲単位ではないのが不便だ。
たとえば「The Associationの『I'm The One』をもう一度聴きたい」と思っても、表示されるのが、同曲が入っているアルバム「Renaissance」なので、そこに入って楽曲を選び直さなければならない。曲名を覚えているときはよいが、忘れてしまったら、またもう一度最初からスキップしながら聴き直す必要が出てくる。楽曲単位の表示を可能にすることは比較的簡単そうなので、ぜひ今後の修正を望みたい。
■洋楽のリコメンド機能はまあまあ、邦楽は全くダメ
「あなたへのおすすめ」機能は、その名の通り、ユーザーの音楽の好みを解析し、ラジオステーションやアルバムをリコメンドする機能だ。たとえば「○○に似ているため」「このアーティストの曲を聴いたことがあるため」などといった理由で推薦される。
データ解析技術に定評のあるGoogleのこと、さぞ精度の高いリコメンドをしてくれるだろう…と期待していたのだが、今のところ、このリコメンド精度はかなり低い。特に邦楽においてはメチャクチャといっても良い。
たとえば、井上陽水に似ているといった理由でドリカムやTM NETWORKを推薦されても困ってしまう。他にもくるりとYUKIが似ている、C-C-Bとラジオステーション「オルゴール」が似ているなどの珍説を開陳され、あきらめの境地に至ってしまった。
だが、筆者が好きなアメリカ・イギリスの60-70年代ロックについては、バンドやミュージシャン同士の関係性がかなり正確にデータベースとして整備されているようで、たとえばザ・バーズに似ているといった理由でバッファロー・スプリングフィールドやラブが推薦されたりなど、「けっこうわかってるじゃん」と思わせる。欧米ではサービスが先行してスタートしていただけに、データ精度が高いのだろう。今後国内アーティストについても、しっかりと細かなカテゴリ分類や関係性などについて、データの整備を行ってもらいたいところだ。
データ整備という意味では、そもそものアーティストのデータベースも、特に邦楽ではあまり整備されていない印象。たとえば「森山直太朗」を検索すると、2つ同名の検索結果が表示される。このあたりの「名寄せ」も早急に進めて欲しい。
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