【第137回】“花澤病ライター”が花澤香菜ソングスにぴったりなヘッドホンをコーディネート！

■君がいなくちゃだめなんだ×Master & Dynamic MH40

花澤さん初主演実写映画「君がいなくちゃだめなんだ」主題歌という大きな意味合いを持ち、アルバムでも最後から二曲目というクライマックスに配され、そして武道館でもセットリストの最後を飾った曲だ。もちろんこの記事もこの曲に最後を飾ってもらう。

下手な色付けをせず「これぞ壮大なバラード！」というアレンジの完成度を高めることで、花澤さんの歌をこれでもかと盛り上げてくれている。この曲をご存知でない方も、「ピアノとストリングスが活躍する壮大なバラード」でイメージされるような曲調をそのままイメージしてもらって、完成度の高いそれの上で花澤さんが切なくも伸びやかに歌っている様子を想像してもらえれば、たぶんそれで間違いない。なのでその壮大さ、スケール感を表現するために、ヘッドホンにも豊かな空間性が求められる。

しかし空間性というのはここまでの他の曲でも必要な要素として挙げているし、特殊ではなく普遍的な前提のひとつだ。

そこでこの曲では特に、空間性も確保した上で「しかし花澤さんの歌が何よりもいちばん大切！」というところを他の曲よりもさらに強く意識。例えば「Night And Day」でのヘッドホン選びは「空間性と低音！あともちろん花澤さんの歌の表現も大切」といった重み付けで行ったが、「君がいなくちゃだめなんだ」では「何よりもとにかく花澤さんの歌がいちばん！…で、その次に空間性とか」みたいな重み付けだ。

そのようにまさに「花澤至上主義」での今回のセレクトがMaster & Dynamic「MH40」だ。実売5万0000円程度という価格だがその価値は十分にある。ニューヨークに拠点を置くブランドなのでアルバムコンセプトの「ニューヨーク」にもぴったりだし。

それにこのブランドの日本代理店のアユートは前述のAK花澤エディションの企画元でもありAstell&Kernブランドとして花澤さんのこのライブツアーや11月07日から始まるアコースティックライブ＆朗読ツアー「かなめぐり」の協賛スポンサー様でもあるので、今後とも花澤さんをよろしくお願いします！という意味からも推さないわけにはいかない。

とか言ってみたがしかし、前述そして以下で説明するように実際には、純粋に音でこの曲にはこのヘッドホン！と選んだ上での「そういえばスポンサー様だ！わっしょい！」なので、以下の評価については裏を考えず普通に受け取っていただいてだいじょうぶだ。裏も何も堂々と盛大にわっしょい！しているので「ステマにもなってない」ってやつなのだが。

繰り返すが何よりも花澤さんの歌、声の魅力を引き出すことを最重要として選択した。そこでこのモデルを選んだ最初の理由は高域の透明感だ。花澤さんの声を濁らせることなく汚すことなく届けてくれるヘッドホン。それがこのモデルだ。

そして次に、このモデルの高域の特徴として「透明感がありシュッとしているんだけれど強めに刺すタイプではなく適度にほぐす」というところがある。シャープさも十分には確保しているが、持ち味と言えるのは「シャープでありつつほぐれてもいるような…」といった絶妙の感触だ。

その感触が花澤さんの声この歌の雰囲気に合う。「こきゅうとす」なら僕は普通にシャープなヘッドホンで刺さりも含めて息の成分を強めに出すことであの歌の切なさを特に強めたい。しかしこの「君がいなくちゃだめなんだ」だと、切なさを引き出すシャープさと同時に、語りかけるような優しさを伝える部分も強めにほしい。そこで花澤さんの声のほぐれもうまく表現してくれるこのヘッドホンが実によいのだ。

加えて、透明度の高い高域を備えつつもこのモデルは高域特化型ではない。中域の厚みや低域のどっしり感もハイレベルだ。特にその中域の厚みが花澤さんの声に肉感を与えてくれる。天使である花澤さんだがしかし人間としての実体も備えていることもその存在の奇跡っぷりであり、それ故に普通の天使よりもさらに奇跡的な存在。このヘッドホンが強く届けてくれる「声の肉感」がその事実をより明確にしてくれるのだ。