CR型フォノイコの音質も検証
新プリメイン「PMA-SX11」が示したデノンの次世代サウンドとは? 山之内正がレビュー
デノンから、11年ぶりとなる「11シリーズ」新モデルが登場した。プリメインアンプ「PMA-SX11」(発表会レポート)は、旗艦機「PMA-SX1」の思想を受け継ぎつつ、サウンド面で“新しい方向性”も示唆する意欲作だ。オーディオ銘機賞 2015において「銀賞」を受賞した本機の実力を山之内 正がレビューする。
■旗艦機の設計思想も受け継ぎながら、11シリーズを11年ぶりに刷新
デノンは旗艦モデル「PMA-SX1」を筆頭に、幅広い価格帯でプリメインアンプの人気モデルを揃えている。そのなかで「PMA-2000RE」など主力機の更新は頻繁に行われているが、ミドルレンジの「PMA-SA11」は発売からすでに10年以上経っており、新製品の登場が待たれていた。その期待に応えて登場したのが、SACDプレーヤー「DCD-SX11」と対をなす「PMA-SX11」だ。型名から想像できる通り、フラグシップのPMA-SX1の設計思想を受け継いだ直系モデルである。
デノンのアンプ技術を象徴するUHC-MOSシングルプッシュプル回路は、旗艦モデルと同様に新しいUHC-MOS FETを導入したAdvanced仕様にグレードアップされた。この素子の瞬時供給電流は120Aから240Aに強化されており、大出力時、瞬発的な駆動力の向上が期待できる。
そのパワーを支える電源部は、電圧増幅段と出力段の巻線を専用化し、トランスやブロックケミコンをアルミ鋳物ケースに封入するなど、ノイズ対策と振動対策を徹底。回路を役割ごとに6ブロックに分割した独立コンストラクションも含め、プリメインアンプとしては異例とも言うべきこだわりだ。なお、PMA-SX1は全段バランス構成のアンプ回路を積んでいるが、本機はシングルエンド構成を採用。出力は8Ω負荷で120W、4Ωで240Wとリニアなパワーを確保している。この性能であれば、インピーダンスが低めのフロア型スピーカーとの組み合わせも十分視野に入るだろう。
シンプルな構成はパワーアンプ部に限ったことではない。コントロール機能はアナログ方式にこだわった高精度なボリューム回路とバランス調整に絞り、トーンコントロールもあえて省略。操作時以外はマイコンの電源を遮断するなど、信号の純度を突き詰める姿勢は上級機と共通だ。なお、大型ボリュームノブ周辺の照明は明るさを明暗2段階から選べるほか、あえてオフにすることもできる。
レコードのリスナーは、本機が本格的なフォノイコライザーを積んでいることにぜひ注目していただきたい。音域ごとの音色の差が生じにくいCR型の回路を採用したほか、インピーダンス切替によって低インピーダンスタイプのMCカートリッジにも対応するなど、回路構成と機能、そして音質の追い込みはPMA-SX1となんら変わるところがない。本機の再生音は、レコード再生のクオリティがいまも着実に進化し続けていることを実証してくれるはずだ。
■デノンらしさを継承しつつ“新しい方向性”を示唆
筆者がこれまでデノンのプリメインアンプに抱いてきたのは、量感豊かな低音を支えにした骨太のサウンドというイメージだ。一方、本機の再生音はそれを継承しつつ、新しい方向性を聴き手に示しているというのが筆者の第一印象で、今回の試聴でもそれを示唆するサインをいくつか聴き取ることができた。
■旗艦機の設計思想も受け継ぎながら、11シリーズを11年ぶりに刷新
デノンは旗艦モデル「PMA-SX1」を筆頭に、幅広い価格帯でプリメインアンプの人気モデルを揃えている。そのなかで「PMA-2000RE」など主力機の更新は頻繁に行われているが、ミドルレンジの「PMA-SA11」は発売からすでに10年以上経っており、新製品の登場が待たれていた。その期待に応えて登場したのが、SACDプレーヤー「DCD-SX11」と対をなす「PMA-SX11」だ。型名から想像できる通り、フラグシップのPMA-SX1の設計思想を受け継いだ直系モデルである。
デノンのアンプ技術を象徴するUHC-MOSシングルプッシュプル回路は、旗艦モデルと同様に新しいUHC-MOS FETを導入したAdvanced仕様にグレードアップされた。この素子の瞬時供給電流は120Aから240Aに強化されており、大出力時、瞬発的な駆動力の向上が期待できる。
そのパワーを支える電源部は、電圧増幅段と出力段の巻線を専用化し、トランスやブロックケミコンをアルミ鋳物ケースに封入するなど、ノイズ対策と振動対策を徹底。回路を役割ごとに6ブロックに分割した独立コンストラクションも含め、プリメインアンプとしては異例とも言うべきこだわりだ。なお、PMA-SX1は全段バランス構成のアンプ回路を積んでいるが、本機はシングルエンド構成を採用。出力は8Ω負荷で120W、4Ωで240Wとリニアなパワーを確保している。この性能であれば、インピーダンスが低めのフロア型スピーカーとの組み合わせも十分視野に入るだろう。
シンプルな構成はパワーアンプ部に限ったことではない。コントロール機能はアナログ方式にこだわった高精度なボリューム回路とバランス調整に絞り、トーンコントロールもあえて省略。操作時以外はマイコンの電源を遮断するなど、信号の純度を突き詰める姿勢は上級機と共通だ。なお、大型ボリュームノブ周辺の照明は明るさを明暗2段階から選べるほか、あえてオフにすることもできる。
レコードのリスナーは、本機が本格的なフォノイコライザーを積んでいることにぜひ注目していただきたい。音域ごとの音色の差が生じにくいCR型の回路を採用したほか、インピーダンス切替によって低インピーダンスタイプのMCカートリッジにも対応するなど、回路構成と機能、そして音質の追い込みはPMA-SX1となんら変わるところがない。本機の再生音は、レコード再生のクオリティがいまも着実に進化し続けていることを実証してくれるはずだ。
■デノンらしさを継承しつつ“新しい方向性”を示唆
筆者がこれまでデノンのプリメインアンプに抱いてきたのは、量感豊かな低音を支えにした骨太のサウンドというイメージだ。一方、本機の再生音はそれを継承しつつ、新しい方向性を聴き手に示しているというのが筆者の第一印象で、今回の試聴でもそれを示唆するサインをいくつか聴き取ることができた。