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「2500NEシリーズ」連続レポート<第3回>

ハイエンドの表現領域に肉薄 - デノンのSACDプレーヤー「DCD-2500NE」をレビュー

公開日 2016/02/22 11:24 山之内 正
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DCD-2500NEが持っているテンションの高い低音の爽快さは、ベースとヴォーカルのデュオからも聴き取ることができた。付点のアクセントが効いたベースの音形が鮮明に浮かび、推進力の強さと緩みのないテンポ感が心地よい。ウッドベースは楽器自体が大きく、弦は太く重いので、ここまでテンションの高いリズムを刻むのは至難の業なのだが、本機で再生するとベーシストの技量の高さがそのまま伝わり、音自体に説得力がある。タイトなベースは輪郭のにじみやブレが少ないので、ヴォーカルのクリアな発音とアグレッシブな表情がストレートに伝わり、そこでもまたテンションの高さを強く印象付ける。今回の試聴で組み合わせたB&W「CM10」は低音の発音がクリアで、本機との相性は良好だ。

試聴の模様。アンプは同じ2500シリーズの「PMA-2500NE」、スピーカーはB&W「CM10 S2」を組み合わせた

ガーディナー指揮イングリッシュ・バロックソロイスツによるJ.S.バッハの復活祭オラトリオは、曲が進むにしたがって緊張が高まり、この作品にふさわしい華やかさや高揚感が際立つ演奏だ。DCD-2500NEがエモーショナルな表現領域に踏み込んでいると感じるのは、そうした演奏の盛り上がりをストレートに引き出し、演奏に収められたテンションやパッションを解放するときだ。同じ2500シリーズのプリメインアンプ、PMA-2500NEも瞬発力や開放的な伸びやかさを獲得して表現領域を広げているが、そのPMA-2500NEとペアを組む本機にも、表現力の同じような跳躍が感じられる。特に、オーケストラと合唱の盛り上がりが同期して何倍ものパワーを発揮する瞬間、音の勢いと到達力が一気に高まる感覚を味わえたのは意外だった。物量に余裕のあるフラグシップならともかく、20万円を切る価格帯のプレーヤーでは珍しいことだと思う。

SACD再生では解像感が際立ち、生々しい臨場感を引き出してくれた

CDの音が良かったので、SACDの再生音にも期待が募る。ヤノフスキ指揮ベルリン放送響のワーグナー『ヴァルキューレ』を聴くと、猛然と動き回る低弦に切迫感があり、劇的な緊張感が一気に高まる。この録音のマスターがPCM録音ということもあり、細部まで克明に描写する解像感が際立っているが、それに加えてピアニシモからフォルテシモに至る強弱の起伏がうねるような動きを引き出し、聴き手を音の渦で巻き込んでいく。ライヴ録音ならではの高揚感や緊張感が弱まらず、ダイレクトに伝わってくるからこそ、ここまでのテンションが維持できるのだろう。SACDは演奏現場の臨場感を伝えるポテンシャルがCDよりもはるかに高いが、プレーヤーがそれをどこまで引き出せるかは製品ごとに違いがある。DCD-2500NEの再生音は前作以上に臨場感が豊かで、ライヴの迫真を引き出す力が強い。

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