旧モデルとの比較試聴も実施
エソテリックの“スタンダード”SACDプレーヤー「K-05X」「K-07X」が果たした進化を検証
<K-05X>音楽の情緒を積極的に表現。ハイレゾは圧倒的な実在感
K-05は高いハイファイ性と太い低音を両立していたが、K-05Xでもこの方向性は変わっていない。ただし、より解像度が上がり、彫りが深くなり、押しが強くなった。積極的に音の情報や音楽の情緒、演奏のグルーヴ感を表現するようになったのだ。先代とK-05Xの変化の度合いも大きいと報告せざるを得ない。
具体的に書くと、エリック・クラプトンの『アンプラグド』を聴いた時の演奏のタイム感、微妙なデュナーミク、あるいはビートのタメといったものが自然と印象深く“聴こえて"きてしまうのだ。こちらから「聴き取り」に行かないのにカラダが動いてしまうような感覚がある。クラシックでもコンサートホールにある濃密な空気感が試聴室の空間に彫り込まれるような感覚である。
続いて、USBケーブルで接続して、PCからPCM系とDSD系の音楽ファイルをいろいろと聴いていった。再生ソフトは「ESOTERIC HR Audio Player」だが、いとも簡単に11.2MHzがかかった。丈青のピアノソロの演奏だ。そもそも11.2MHzの音の凄さは自宅も含めていくつかの場所で経験しているが、K-05Xで聴けた音の安定感、空間自体に匂いや色のあるような感覚、圧倒的な実在感ともにさすがと唸らざるを得なかった。
考えてみればこれだけの物量、剛直なシャーシや電源部を持っているUSB DACはほとんどないのだからその音の凄味も当然かもしれない。紙数が足りず具体的に書けないのが悔しいが、最後にG-02からクロック入力した時の音のインプレをここに書き写しておこう。一言、「血が騒ぐ」である。
■試聴でわかった進化度の総括と魅力
ハイファイなトーンが向上。積極的かつ彫り深く聴かせる表現力を獲得
エソテリックのデジタルプレーヤーが次々とモデルチェンジしている。まずGrandiosoP1/D1。続いて一体型のK-01XとK-03Xが登場。K-05とK-07も早々に「X」へと更新されたが、こんなに濃密な変化を遂げるとは予想できなかった。P1/D1で開発した技術や音の方向性を取り入れつつもそれぞれの内容を最適化する方向で遂げた進化は、ルーティンワークのモデルチェンジではない、積極的に音と音楽表現力を上げようという意志を感じる。
そのそれぞれのメカドライブは先代を継承しつつ、電源部、DAC部とバッファーアンプ部を入れ換えるというかたちで進化したのだが、両モデル共に音楽を表現する力が大きく深くなった。写真でも解像度が上がることよってナチュラルさが増すが、その向上したハイファイなトーンを積極的に、彫り深く聴かせようという、共通した強い表現力なのだ。ぜひ体感していただきたい変化だ。
(鈴木裕)
本記事はオーディオアクセサリー156号からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。
K-05は高いハイファイ性と太い低音を両立していたが、K-05Xでもこの方向性は変わっていない。ただし、より解像度が上がり、彫りが深くなり、押しが強くなった。積極的に音の情報や音楽の情緒、演奏のグルーヴ感を表現するようになったのだ。先代とK-05Xの変化の度合いも大きいと報告せざるを得ない。
具体的に書くと、エリック・クラプトンの『アンプラグド』を聴いた時の演奏のタイム感、微妙なデュナーミク、あるいはビートのタメといったものが自然と印象深く“聴こえて"きてしまうのだ。こちらから「聴き取り」に行かないのにカラダが動いてしまうような感覚がある。クラシックでもコンサートホールにある濃密な空気感が試聴室の空間に彫り込まれるような感覚である。
続いて、USBケーブルで接続して、PCからPCM系とDSD系の音楽ファイルをいろいろと聴いていった。再生ソフトは「ESOTERIC HR Audio Player」だが、いとも簡単に11.2MHzがかかった。丈青のピアノソロの演奏だ。そもそも11.2MHzの音の凄さは自宅も含めていくつかの場所で経験しているが、K-05Xで聴けた音の安定感、空間自体に匂いや色のあるような感覚、圧倒的な実在感ともにさすがと唸らざるを得なかった。
考えてみればこれだけの物量、剛直なシャーシや電源部を持っているUSB DACはほとんどないのだからその音の凄味も当然かもしれない。紙数が足りず具体的に書けないのが悔しいが、最後にG-02からクロック入力した時の音のインプレをここに書き写しておこう。一言、「血が騒ぐ」である。
■試聴でわかった進化度の総括と魅力
ハイファイなトーンが向上。積極的かつ彫り深く聴かせる表現力を獲得
エソテリックのデジタルプレーヤーが次々とモデルチェンジしている。まずGrandiosoP1/D1。続いて一体型のK-01XとK-03Xが登場。K-05とK-07も早々に「X」へと更新されたが、こんなに濃密な変化を遂げるとは予想できなかった。P1/D1で開発した技術や音の方向性を取り入れつつもそれぞれの内容を最適化する方向で遂げた進化は、ルーティンワークのモデルチェンジではない、積極的に音と音楽表現力を上げようという意志を感じる。
そのそれぞれのメカドライブは先代を継承しつつ、電源部、DAC部とバッファーアンプ部を入れ換えるというかたちで進化したのだが、両モデル共に音楽を表現する力が大きく深くなった。写真でも解像度が上がることよってナチュラルさが増すが、その向上したハイファイなトーンを積極的に、彫り深く聴かせようという、共通した強い表現力なのだ。ぜひ体感していただきたい変化だ。
(鈴木裕)
本記事はオーディオアクセサリー156号からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。