<山本敦のAV進化論 第89回>
新iPad Pro 9.7インチは“ノートPCの代わり”になるか? その“ビジネス力”を見極める【前編】
もちろん音楽や映像再生まわりでも色々と使うことになるかもしれないが、いかんせんポータブルオーディオプレーヤーとしてはサイズが大きいし、電車の中でVOD配信を視聴するなら、周りから画面をのぞき見られる覚悟が必要だ。なので、どちらかと言えばネットワークオーディオ再生や、宅内に少しずつ増えてきたIoT機器のリモコンとして使う機会の方が増えるような気がしている。
外出先でもメールやWebのチェックが欠かさずできるよう、今回はSIMフリーのWi-Fi+セルラーモデルを選んだ。カラーバリエーションは、周囲に新しいiPadを買ったことをわかりやすくアピールしたかったので、年甲斐もなくローズゴールドにしてみた。ストレージは一番小さい容量で十分だったので32GBモデルにしている。
ビジネスシーンでバリバリ使うなら、せめて128GBを狙うべきだろ?と突っ込まれるかもしれないが、私はこれまでにもiPhoneでドキュメントファイルのやり取りはDropboxをメインに使っていたし、撮った写真や動画はImationのLightningに直結できるバッテリー内蔵ストレージ「LINK Power Drive」を活用しながら管理してきた。
後者はストレージに保存したファイルをPCと自在にやり取りできるので非常に便利なアイテムだ。先日生産が終了してしまい途方に暮れているのだが…。それはさておき、iPad本体に大容量のストレージがある必要性を感じなかったから、コストメリットを取って32GBのモデルを選んだというわけだ。
■まず気づくのは“カメラ部の出っ張り”
到着したiPad Pro 9.7インチを箱開けして取り出してみる。既存のiPad Air 2と筐体の大きさはもちろん、手に取った際の重さなどはスケール感もほぼ変わらない。ローズゴールドの色合いも、乙女な感じのローズ色ではなく、どちらかと言えば“あずき色”っぽい落ち着いた渋いピンクに見えないこともないので、アラフォーのおじさんが持っていてもギリギリセーフだろ?と自己暗示をかけてみる。
パッケージからiPadを取り出しながら、ちょうどリアカメラの位置あたりの梱包材にヘコミが設けられていることに目が行った。そう、新しいiPadはiPad Air 2と比べてカメラまわりの機能が色々と大きく強化されているのだが、そのぶんiPhone 6世代から採用されてしまい、一部でウケの悪い“カメラのレンズ部分の出っ張り”が付いてしまったのだ。
iPadを仰向けの状態でテーブルなど平らなところに置くと、ガタガタして気になることはないが、なるほどカメラの出っ張りが存在していることはわかる。気がつかなければスルーしてしまう人も多いだろうに、律儀に梱包材のヘコミでそのことを意識させてしまうのではないだろうか。まあ、どちらにしても筆者はカバーを付けてしまうから、どちらでもいいのだが。
なお、メインのiSightカメラのセンサーは解像度が12MPになり、iPad Air 2の8MPに比べるとジャンプアップを遂げている。4K動画撮影やオートフォーカスの精度向上も果たした。この辺の実力検証については、発売日に編集部の風間氏が詳しくレポートしているので、ぜひご覧いただきたい。
■フロントカメラの高画素化も注目ポイント
筆者が注目したのは、フロント側のFaceTime HDカメラの方も、iPad Air 2の1.2MPから、新iPad Proで5MPにまでパワーアップした点だ。撮影時にストロボではなくディスプレイを発光させて、ナチュラルな明るさの写真が撮れる「Retina Flash」も搭載されている。