<連載:折原一也の“いまシュン!”ビジュアルプロダクト>
いよいよ日本でも本格始動、Ultra HD Blu-rayの4K/HDR映像は何がすごいのか
少し照明がある状態で見ても高画質が維持されるのは、ベースとなる輝度が全体的に引き上げられており、明るく表示されている前提で画作りされているから。このため、明るめの照明下で観ても画質面での違和感が出にくい。
Ultra HD Blu-rayはハイエンドの高画質マニア向けのものと思われがちだが、意外や意外、実は日本の明るいリビングで、制作者の意図通りに観られるというメリットもあるのだ。
■国産初のUltra HD Blu-rayタイトル『4K 夜景』
国産初のUHD BDタイトル『4K 夜景』もチェックした。パナソニックの4KカムコーダーVARICAM35で収録され、長崎、神戸、東京、横浜、函館といった街の歴史的名所を美しく撮影・編集した作品だ。
まず、昼間の景色。ロングショットでの画面全域の映像のヌケの良さは抜群。特に長崎の女神大橋での夕日の眩しさを利用した演出と赤の色抜けの良さは、UHD BDならではの、HDR表現の見事さと言える。
夜景の映像も、ネオンの光の伸びだけでなく、“色の乗ったブルー”の発色と画面随所の輝きが美しい。実はこの『4K 夜景』のシーンだけを観ると“いかにもHDR”という作りではないのだが、同じシーンを同梱の通常BD版で改めて視聴すると、その自然で控えめな輝きこそが、HDRでしか再現できない映像なのだと実感する。
『4K 夜景』で撮影されている夜景のなかで、テレビにとって相当な難シーンだとAV評論家/ライターの間で話題になったのが「神戸編」だ。
まず、HDRでしか表現できない見所を実感できるのが、空撮での西宮駅が映るシーン。ロングショットの中央に映る駅のホームだけが明るい。そして、全体としては暗い夜景のなかで、その明るいホームの映像も映像として破綻せず、ホームで電車を待つ人もリアルに観て取れるのだ。
一画面内に夜景と共に情報を持った明所が共存するシーンで、いずれの階調も飛ばさず映す。この表現は、UHD BDにしか為し得ないものだろう。
今回、ハリウッド映画から『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『オデッセイ』、そして国産タイトルの『4K 夜景』と視聴してみたが、いずれも「Ultra HD Blu-ray」の画質を余す事なく体感できた作品だった。
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のように効果的な演出に用いているものだけでなく、『オデッセイ』のような地味な使い方でも、通常のBDからUHD BDへの画質向上を実感できることだろう。来月にはこれらの作品も国内版が発売され、入手しやすくなる。今から楽しみだ。