
(にらみつける編集長の前で小さい声になり)……ぇー、ということで、ロボホン記事をどうか一つ…。

ダメです。
言下に否定する松井編集長。付け入るスキすらない感じだ。

ロボホンは、すでに専門家さんに記事化して頂いてます。一条さんにはBDレコーダーのガイドとして引き続きがんばっていただけたらと。

そんなこと言ったって、BDレコーダーもあまり新製品ないし、原稿依頼もほとんどないんですよ? どうやってがんばれっていうの! ムリですよ!!

…やばいな。一条さんヤケ気味になってる。
一条さん、我々にも見放されかかってますし、これでオールアバウトさんにも受け入れられなかったら、ガチでキレそうで怖いですね。……風間さん、ここは一つ、我々も頭を下げませんか?

えっ? なんで俺らがオールアバウトさんに頭下げるの? 筋が違うくね?

それはそうなんですけど、ここは誠意の見せどころかと。ほら、我々がきっかけになって買って頂いたわけですし。

…それ言われると弱いんだよなー。じゃあちょっとやってみるか。

……お話し中のところすみません。音元出版と申しますが、私たちからも一条さんをぜひ推薦させて頂きたく思います。

…………。
腕組みをし、睥睨する松井編集長。沈黙を続けるその姿を見ると、ちょっとやそっとの説得では心が変わりそうもない。

(小声で)仕方ない。やるか。

はい。

…僕たちからもお願いです! 一条さんに、ロボホン記事を書かせてあげてください!
額が切れんばかりに、机に頭を擦りつけて懇願する風間と杉浦。入社して十数年経ったが、こんなに深々と頭を下げたのは初めてかもしれない。
ところが、だ。頭を下げながらふと横を見ると、肝心の一条氏が頭を下げていない!
……強い怒りがこみ上げてきた。
関係ない(?)俺たちがこれだけ平身低頭してるのに、当事者が超然と振る舞ってるとは何事だ!
思いは杉浦も同じだったようだ。ふたりで一条氏の頭を思い切り押さえつけ、ムリヤリ頭を下げさせる。

ぜひお願いします!

そうですか…。そこまでされたら、無碍に断るわけにも行きませんね。

ありがとうございます!